「レストランの味」で
災害時支える

エム・トゥ・エム、
防災食で避難者に安らぎを

メイン画像 メイン画像 提供:エム・トゥ・エム

明治時代に開業したレストランにルーツを持つ「老舗の味」で、災害時に避難者へ少しでも安らぎを届けたい――。カレールウや粉末ホワイトソースを中心にエム・トゥ・エム(神奈川県鎌倉市)が、防災食・備蓄食としても活用できる製品の開発・販売を加速させている。製法にもこだわりを見せ、食の安全・安心と両立させている。

簡単調理で温かいリゾットを

直近の商品開発の中で目玉となっているのが、カップタイプの「オートミールクリームリゾット」「オートミールカレーリゾット」だ。カレーリゾットの場合、水と電子レンジさえあれば、いつでも簡単に温かい食事を用意することができる。優しい味わいに仕上げることで「災害時に食事を通じて、少しでも気持ちを落ち着かせてもらえれば」との思いを込めた。他の商品ともども、一部の高級スーパーやインターネット通販で購入できる。

国産粉末スープの“元祖”

エム・トゥ・エムのルーツは、創業者・黒田長蔵の父・政吉が1876年に東京・浅草で開いた西洋料理店「フランス料理太平洋」。1928年に長蔵の代で東京・日本橋へ移り、先代から屋号を引き継ぎ「レストラン太平洋」を立ち上げた。そして33年にはレストラン内で粉末のクリームスープ、ホワイトソース、カレールウを誕生させた。同社によると、国産の粉末スープとしては初めての登場だったという。

1940~41年ごろの従業員の集合写真 レストラン太平洋の前で集合写真に収まる従業員
(1940~41年ごろ)

その後、45年の東京大空襲でレストランは消失し、従業員も離散。別荘のあった鎌倉の地に移り、食品メーカーとして再スタートを切ることになった。しばらくはOEM(相手先ブランドによる生産)や下請けがメインで90年代に入ると低迷が続いたが、現・代表取締役の伊藤眞代氏による自社ブランドの確立を通じて再建を果たした。

うま味調味料不使用・無添加に
こだわり

創業当時のレシピを基に、現代風にアレンジして商品を作り続けているというエム・トゥ・エム。当初から原料にこだわってきたほか、うま味調味料の不使用を貫くなど現在も無添加をベースとした安心・安全な商品の開発を続けている。根底にあるのは「洋食屋の味をご家庭で味わっていただきたい」という思いだ。

カレールウやビーフシチューなど、レトルトを中心に様々な商品をそろえる カレールウやビーフシチューなど、レトルトを中心に様々な商品をそろえる

最近では食物アレルギーに配慮したグルテンフリーの商品に加えて、ビーガン(完全菜食主義者)対応の商品を開発。日本のみならず海外への輸出販売も手掛けている。食を通じた被災者への手助けや防災力強化の支援に向けて、今後も更に取り組みを進めていく。

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