YEデジタル 未来志向で導くDX Vol.2 人手不足に悩む物流業界の課題をデータ利活用で解決 YEデジタルが「物流DX」の先に描く未来とはYEデジタル 未来志向で導くDX Vol.2 人手不足に悩む物流業界の課題をデータ利活用で解決 YEデジタルが「物流DX」の先に描く未来とは

提供:YEデジタル

日本企業、そして社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)への向き合い方が問われている。それは、働き方改革を背景に人手不足の深刻化が懸念される物流業界も同じだ。従来の延長線上ではない、先を見据えた対応のためには何が必要か。センシングやAI(人工知能)技術を持ち、物流の現場の悩みに寄り添った形の支援ノウハウを持つYEデジタルの玉井裕治社長に、DXによってどのような課題解決が進み、それらの取り組みは日本企業や社会をどう変えていくのか話を伺った。

深刻な人手不足、求められる
物流センター全体の最適化とは

――日本企業におけるDXの重要性をどう捉えていますか。

玉井 DXは日本企業にとって不可欠です。製造業では働き方改革が求められ、非製造業では労働生産性向上が求められていますが、いずれもDXなしでは実現できません。DXによって人手に頼らず、効率的に仕事ができる状況をつくっていく必要があります。

 特に物流業界の事態は深刻です。人手不足に加えて物流コストが増加しているため、物流センターの自動化、省人化が喫緊の課題になっています。さらにサステナビリティー(持続可能性)への対応も迫られています。まさに物流業界にとってDXは急務になっています。

――物流業界の人材不足はいつから始まったのでしょうか。

玉井 裕治氏
株式会社YEデジタル
代表取締役社長
玉井 裕治

玉井 EC(電子商取引)が盛んになった5、6年前からでしょうか。荷物の量は増えているのにドライバーが集まらないという状況に加え、時間指定で消費者に届けるというようなきめ細かなサービスが求められるようになり、深刻な人手不足に陥っています。

 コロナ禍でこの状況はさらに加速しています。ECで注文する人はますます増える一方で、外国人労働者を採用することも難しくなりました。いかに効率よく業務をこなすかが問われています。

――働き方改革によってドライバーの時間外労働時間の上限が規制される「2024年問題」も話題になっています。

玉井 2024年問題に対する最大の弱みはドライバーの時間外労働です。業務の効率化を図らなければ人手不足に拍車がかかります。そのためにはドライバーによる荷物の積み下ろしだけではなく、これまで3PL(サードパーティー・ロジスティクス)に頼っていた部分も含めて物流センター全体の見直しが必要です。自動化によって限られた人員でさばけるようにするしかありません。

 当社は4半世紀にわたって物流業界のお客様とお取引させていただき、これまでに導入したシステムは200件を超えています。こうした豊富な実績と先進のテクノロジーを背景に、人・システム・設備を含めた物流センター全体の最適化を実現できるDX推進のパートナーになることを目指しています。

自動化の真のメリットは
データの利活用にある

――物流センターの自動化はどこがネックになっているのでしょうか。

玉井 自動化の余地はまだまだありますが、最大の障壁は自動化の効果の捉え方です。高価なマテハン(マテリアルハンドリング)やロボットを導入し、5人で作業していた業務が2人で済むようになった場合、3人分のコストが削減されます。しかし、それだけを見ていると効果を見誤ります。重要なのは自動化によって「データがとれるようになったこと」です。

 倉庫管理の業務の多くは属人化していてデータで見ることができません。それでは荷主とのデータの共有もできず、改善が進みません。マテハンやロボットによって運用が自動化されれば、データで状況を把握できます。そのデータをもとにDXを進めることにより、情報から価値を生み出せるようになります。それを理解している企業は自動化が進んでいます。

玉井 裕治氏
「運用が自動化されれば、データで状況を把握することができます。それを理解している企業は自動化が進んでいます」

――自動化を進めるためには本来の価値を理解してもらう必要があるということですね。そのためにどのような提案を行っていくのでしょうか。

玉井 物流DXを推進していくうえでネックになっているのは物流センター業務の基幹システムで、倉庫内の在庫などを管理する倉庫管理システム「WMS」の拡張性が低く、倉庫内の自動化設備を制御する倉庫制御システム「WCS」と分断されていることです。それをベースに変革を進めようとすることに無理があります。この壁を乗り越えるために当社では新たな物流ソリューション「MMLogiStation」を開発しました。

物流の現場に寄り添った
継続的なDXの支援を行う

――具体的にはどのような構成で、どんなメリットを提供するものなのでしょうか。

玉井 ポイントは倉庫内を管理するWMSと倉庫内の自動化設備を制御するWCSとの間をデータでつなぐ倉庫実行システム「WES」を独自に開発したことです。最新のマテハン機器や作業用ロボットと簡単に接続できるようになり、リソースの最適配置につながるデータを収集し、プロセス全体を統合管理できます。

図

WES(倉庫実行システム)とは

物流倉庫業務における基幹システムで、原料や在庫といった物の管理を行うWMS(倉庫管理システム)と、倉庫内の設備のリアルタイム制御を行うWCS(倉庫制御システム)の間で、「物流現場の制御・管理に特化」したシステムのこと。従来WMSが行っていた現場の制御と管理をWESに分離することで、各システムの役割がシンプルになり、自動化設備の導入や作業手順の変更など、業務の変化にスピーディーに対応することが可能になる。

 物流現場の制御と管理機能に特化したWESによって、短期間、かつ低コストで自動化設備が導入できるだけでなく、常に世界の最新の自動化設備を導入することで、機動的に機能を拡張させていくことができます。

 また、当社はシステムの導入を支援するだけではありません。運用後は6月に2.3倍の面積に拡張したITカスタマサービスセンター「Smart Service AQUA」によって24時間365日のサポートを提供します。さらに連携した自動化機器についてまとめてサポートし、障害発生時には当社が原因の究明から解決までワンストップで対応します。このセンターはお客様と一緒にDXを推進していく場でもあるのです。

Smart Service AQUAの様子 Smart Service AQUAの様子
ITカスタマサービスセンター「Smart Service AQUA」

――そうした一連のサービスのメリットをどのようにお客様に提案するのでしょうか。

玉井 物流システムに対する高度な知識を持つエンジニアが多数在籍し、導入をしっかりとサポートします。導入にあたっては実倉庫をデジタル上に再現し、業務の流れがどう変わり、どんな効果が生まれるかを理解していただくためのシミュレーションを行います。バーチャル上ですが、図面も設備もリアルにつくり、Before Afterをしっかり見ていただけます。

 重要なのはDXには絶えずアップデートが必要なことです。物流センターの自動化設備は導入したら動いているのは当たり前。そこから導入効果をデータで確認し、さらにそれをもとに改善を進めていくことが重要です。

 そのためには現実世界を再現した「デジタルツイン」と呼ばれる仮想空間をつくり、そこにWESの実績データを投入することでリアルにシミュレーションを行い、新しい知見を見いだし、改善につなげていくことが肝要です。当社の強みを生かすことができる分野として、今後取り組んでいきたいと考えています。

データの利活用で
日本企業は成長できる

――物流DXの先にどんな未来を描いているのでしょうか。

玉井 日本企業にもっと強くなってもらいたいですね。そのために当社は日本発のDXが次々と生まれてくるお手伝いをしたいと常に考えています。今回ご紹介したWESも、ありそうでなかった製品です。データを利活用したDXで社会に貢献したいという発想があったからこそ生まれたものといえます。

 日本は少子高齢化と言われていますが、Z世代の若者には高いポテンシャルを感じています。グローバルで見ても能力的な差はないでしょう。伸び伸びと自由にチャレンジできる場を用意し、若年層の優秀な人材の能力を引き出す。私たちの発想を乗り越えるような素晴らしい仕事をしてもらうことも日本企業を強くすることにつながります。

 製造業を中心に日本企業にはまだまだ伸びしろがあります。現場の装置から得られるデータは、スマホ経由のデータのように米国の情報技術大手企業に集まるものではありません。それを利活用することで日本企業の強みが生かせるはずです。日本全体でデータのメリットを享受できる世界をつくり出すために、これからも日本企業に貢献していきたいと考えています。

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