提供:コスモエネルギーホールディングス

COSMO

「Vision 2030」を実現し企業価値を高める

VOL.1 山田 茂社長に聞く

未来を変えるエネルギー、
社会を支えるエネルギー、
新たな価値を創造する。

コスモエネルギーホールディングス社長 山田 茂

コスモエネルギーホールディングス社長 山田 茂

コスモエネルギーホールディングス(HD)は2023年3月、第7次連結中期経営計画と中長期のビジョン「Vision 2030~未来を変えるエネルギー、社会を支えるエネルギー、新たな価値を創造する。」を発表した。「Vision 2030」に込めた思い、実現に向けた戦略などを、コスモエネルギーホールディングス社長 山田 茂氏に聞いた。

変化の激しい時代にあっても
企業価値の最大化を図る

――「Vision 2030」の概要と狙いについて教えてください。

「Vision 2030」は、グループ理念「私たちは、地球と人間と社会の調和と共生を図り、無限に広がる未来に向けて持続的発展をめざします」と、3カ年の中期経営計画をつなぐ中長期のビジョンです。変化の激しい時代にあって企業価値の最大化を図る、2030年の「ありたい姿」として描きました。「未来を変えるエネルギー」とは、再生可能エネルギーや次世代エネルギーなど脱炭素社会への移行に欠かせないものを指し、「社会を支えるエネルギー」は、エネルギーの安定供給のために、従来の石油資源を効率的に活用していくことを意味しています。この2つを両輪として新たな価値を創造していこう、という思いを込めました。

同時に、第7次連結中期経営計画で掲げたHRX(ヒューマンリソーストランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の3つのアクションプランを通じ、経営基盤の変革を図り、「Vision 2030」の実現を目指します。

変化の激しい時代にあっても企業価値の最大化を図る

――どのような戦略で取り組みますか。

前述の経営基盤の変革や当社ならではの事業戦略で、「Oil」つまり石油事業の競争力の強化を図り収益力を高めます。同時に将来の成長ドライバーとなる「New」の事業、すなわち次世代・低炭素事業に投資し育てていきます。変化の激しい時代だからこそ柔軟に対応し、足元から未来に続くトランジションを推進できるよう、中長期的な目線で企業価値の最大化を図る枠組み(ロードマップ)を考えています。

グリーン電力サプライチェーン強化
2030年には400億円の収益を目指す

――具体的な施策について教えてください。

1つ目は、グリーン電力サプライチェーンの強化です。上流であるグリーン電力の発電から、下流の販売までのサプライチェーンを一つにつなげ、現状のビジネスモデルからの転換を図ります。以前から私たちは、風力発電を中心とした再生可能エネルギー事業を拡大してきましたが、発電領域にとどまらず、需給調整や蓄電、その先の販売も含めて取り組みます。脱炭素の流れを進めるとともにエネルギー供給者としての責任を果たし、事業収益を最大化します。

具体的には、風力発電、グリーンでんきの販売、商用EVの販売、グリーン電力ソリューションサービスの提供など、コスモが既に保有する資産や事業それぞれを強化し、つなげます。さらに、蓄電および需給調整機能を構築することで、グリーン電力の価値の最大化を図り、2025年度には80億円、2030年には400億円の収益を目指します。

グリーン電力サプライチェーン強化 2030年には400億円の収益を目指す

日本初の国産SAF量産化など
次世代エネルギー拡大へ

2つ目は、脱炭素社会を支える次世代エネルギー拡大への取り組みです。2025年、日本初となる国産SAF(Sustainable Aviation Fuel=持続可能な航空燃料)の量産化を皮切りに、実現性・事業性を見据えて、水素やバイオディーゼルなどの次世代エネルギーの選択・開発を進めます。

国産SAFの供給は、2025年に堺製油所で生産開始予定です。廃食用油を原料とする3万KL/年をスタートに、バイオエタノールからSAFを製造する「Alcohol to Jet (ATJ)」技術の活用などを通じて、2030年には30万KL/年を目指します。このほか、2024年度に第1号店が開所予定のFCV(燃料電池車)トラック向け水素ステーションの展開をはじめとする、水素サプライチェーンへの参入などにより、2030年に100億円の収益を目指します。

SAFのサプライチェーン構築のイメージ図

石油事業の競争力強化・低炭素化
エネルギー安定供給の責任果たす

3つ目は、石油事業の競争力強化・低炭素化です。今の社会を支えるエネルギーを、安全かつ安定的に供給する責任を果たすには欠かせない取り組みです。石油精製販売、石油開発、石油化学の各事業で安全を確保したうえで、DXを進めながら高効率化等の施策を推進し、2030年時点でも1500億円の収益を目指します。同時に、事業から排出される二酸化炭素(CO2)の回収と活用の技術開発や実用化など、低炭素化につながる取り組みにもまい進します。

HRX、DX、GXで経営基盤を変革
持続的な収益安定化を図る

――3つの柱の実現に向け、経営基盤の変革はどのように進めますか。

第7次中計で掲げている通り、HRX、DX、GXへの取り組みを進めていきます。

人材は、当社グループにとって最も重要な資産です。「Vision 2030」を実現する人材集団の形成に向けて、意欲・自律性と能力・多様性の両面で取り組みを進めます。ウェルビーイングを向上させるとともに、現状の課題から変革を図ることで事業を推進する人材力を高める「人が活き、人を活かす人材戦略」を推進していきます。制度面の整備や教育プログラムは会社側で準備しつつ、社員個々人の能力を高めることを促し、最終的には会社に対するエンゲージメント向上につなげます。第7次中計では具体的な評価指標(KPI)として、エンゲージメント指数60ポイント以上※1、従業員一人当たり教育投資18万円※2など6項目を設定しました。

※1 2025年度目標、従業員意識調査から算出。※2 2025年度目標

コスモエネルギーホールディングス社長 山田 茂 コスモエネルギーホールディングス社長 山田 茂1988年成城大学経済学部卒、コスモ石油(現コスモエネルギーホールディングス)入社。2020年取締役常務執行役員。山形県出身。2023年4月から現職

DXは、事業環境の変化に対応するビジネスモデル変革の実現に欠かせません。この推進のために、全社的にITリテラシーを高め、データを実際に事業に活用できる「データ活用コア人材」をグループ全体で900人創出する計画です。また、エネルギー供給者として、デジタルプラント化や石油サプライチェーンの最適化など、デジタルを活用した既存事業の競争力強化に取り組みながら、既存・新規のデータを活用し新しい事業価値を創造していきます。

GXではロードマップに沿って温室効果ガス(GHG)の排出削減を進めます。コスモエネルギーグループは2021年5月に2050年カーボンネットゼロを宣言しました。第7次中計の発表に際し、カーボンネットゼロ宣言の対象をサプライチェーン全体に拡大しScope3まで含め、実現するには経営全体のトランスフォーメーションが不可欠であると考え、GXを戦略軸の一つに据えました。直接削減と削減貢献の両軸で取り組み、CO2排出量を2030年に2013年比30%削減し、さらに2050年にはScope3を含むネットゼロ実現を目指します。

――日経電子版読者にメッセージをお願いします。

エネルギー業界は、世界的な脱炭素の流れを受け大きな変革期にあります。コスモエネルギーグループが2023年度からスタートさせた第7次中計のスローガンは「Oil & New ~Next Stage~」。現在のコア事業である石油エネルギーを安全かつ安定的にお客さまに届け、しっかりと収益を上げること。そして、来るべき時代を支える再生可能エネルギーや関連サービスに投資し、新時代の事業ポートフォリオを育てていくこと。これにより、中長期的にグループ全体の持続的な収益安定化を実現し、いつの時代も安全かつ安定的にエネルギーをお届けします。

第7次中計と「Vision 2030」の下で企業価値を高め、ステークホルダーの皆さまからの信頼に応えられるよう全力を尽くします。これからのコスモエネルギーグループの成長にぜひご期待ください。