提供:KDDI

対談:KDDI ソリューション事業本部長 桑原 康明氏 × 経済キャスター 小谷 真生子氏

「DX実現のステップ」「DXの本質」とは?

写真:小谷氏と桑原氏

小谷 真生子 経済キャスター

桑原 康明 KDDI株式会社
取締役 執行役員専務
ソリューション事業本部長 兼
グループ戦略本部長

KDDIは通信と非通信領域を融合させることで、さまざまな業種・業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)をワンストップで支援している。経済キャスターの小谷 真生子氏が、2023年4月からKDDI法人事業のトップを務める取締役 執行役員専務 ソリューション事業本部長 兼グループ戦略本部長 桑原 康明氏にKDDIが目指す姿について話を聞いた。

DX、ビジネス変革が急務な日本企業

写真:小谷氏

経済キャスター
小谷 真生子

小谷 近年DXを強力に推進している企業が増えていると感じています。企業がDXに取り組む背景としてどのような課題があり、デジタル技術はその課題をどう解決できると見ていますか。

桑原 新型コロナウイルスによるパンデミック、ウクライナ紛争に起因するエネルギー価格高騰など、世界中で想定外の問題が同時に発生し、経済活動に大きな影響をもたらしています。日本ではそうした直近の諸問題に加えて、生産年齢人口が急速に減少していることが大きな課題だと考えています。

このような課題に対し、複数ある打ち手の中で重要だと考えているのがデジタルの活用「DX」です。あらゆる日本企業がDXを推進して業務の自動化・効率化を進め、事業の生産性向上を図ることを求められています。

小谷 企業が存続・成長し続けるには、デジタル化を進めてコスト削減や利益向上だけを考えるのではなく、働き方改革も含めた社員に対する手厚いサポートも大切ではないでしょうか。

写真:桑原氏

KDDI株式会社
取締役 執行役員専務
ソリューション事業本部長 兼
グループ戦略本部長
桑原 康明

桑原 おっしゃる通り、社員が働きやすい環境を整備するとともに、働き方改革を推進することもDXの大きな役割の1つです。KDDIでは働き方改革や業務の生産性向上をご支援する取り組みを「コーポレートDX」と呼び、ゼロトラスト等のリモートワークを支えるソリューションを提供しています。

また、DXのもう1つの大きな役割は、デジタルの力で自社のビジネスを変革することです。私たちはこれを「ビジネスDX」と呼び、さまざまな業種・業界のお客さまの変革をご支援しています。しかし、日本は欧米と比較して、この「ビジネスDX」の段階に進めていないお客さまがまだまだいらっしゃると感じています。

小谷 日本では一時期、将来に備えて利益を社内に蓄積する企業が多いことが批判されましたが、資金を社内に蓄積できるような業績が好調な企業はDXへの投資も可能です。けれどもDXに投資する体力がない企業は、どのようにDXを推進すればよいのでしょうか。

桑原 KDDIでは、DXを推進・実現するための各種ソリューションを通信サービスのように月額化して提供しています。また、特定の業種・業界向けに、複数の企業で共用できるプラットフォームを用意するといった取り組みも進めています。KDDIのプラットフォームを活用していただくことで、初期投資を抑えながらDXを推進することが可能になります。

多様なDX領域を「通信」と融合させワンストップで提供

小谷 KDDIというと通信事業者というイメージが強いのですが、スマートワークを実現する「コーポレートDX」や、企業のビジネス変革を支援する「ビジネスDX」も展開されているのですね。改めて、KDDIがDXを推進するお客さまに対して展開している具体的な施策をお聞かせください。

桑原 DXの本質である「ビジネス変革」を実現するためには、ステップがあると考えています。

まず「コーポレートDX」では、お客さまの働き方改革の実現やIT資産の運用を効率化する、ゼロトラストソリューションやマネージドソリューションを提供しています。これにより、お客さまがデジタルを活用してビジネス変革へ取り組める環境を作り、リソースを捻出します。

次に、ビジネス変革のご支援では、コンサルティング、データの取得、アプリケーション開発、分析、システム運用を一気通貫で提供します。これらの高い専門性が求められる領域は、グループ会社がそれぞれのパートを専門的に担っています。

22年5月には、KDDI Digital Divergence Holdingsを設立しました。

図

このホールディングス傘下には、KDDIのアジャイル開発事業を分社化したKDDIアジャイル開発センターをはじめ、クラウドインテグレーション事業のアイレット、クラウドホスティングサービス事業のKDDIウェブコミュニケーションズ、アジャイル開発のコーチングサービスを提供するScrum Inc. Japan、デジタルツインのプラットフォームを提供するフライウィールといった、DX推進に必須のケイパビリティ(能力)を持つスペシャリスト集団5社がいます。1300人超のDX専業体制を構築することで、お客さまのビジネス変革に貢献したいと考えています。

また、ビジネス変革にはデータの起点となる「顧客接点のデジタル化」が必須となるため、コンタクトセンターを運営するKDDIエボルバと三井物産グループのりらいあコミュニケーションズの2社の経営統合により、コンタクトセンターやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のデジタル化も急ピッチで進めていきます。

今後も、KDDIグループの総力を挙げて、DXを加速させるケイパビリティ拡充に取り組んでまいります。

小谷 お客さまのDXに貢献するための体制強化に意欲的に取り組まれていますね。これらの施策を通じて、KDDIはお客さまにどのような価値を提供できるのでしょうか。

桑原 DXを実現するために必要なケイパビリティを一気通貫で、かつ通信事業者である強みを生かしたリカーリングモデルで継続的に提供し続けることができる、これがKDDIの提供価値です。引き続き、業務効率化による生産性の向上や、ビジネス変革による付加価値の向上に貢献したいと考えています。

小谷 DXは単なるデジタル化ではなく、データを分析してビジネスへ活用することも重要な取り組みになります。データ活用の側面からは、どのような事業を展開していますか。

桑原 データを収集・分析してビジネスに活用する、ビジネスを変革する、それがDXの本質だと思います。

KDDIはスマホやIoT(※1)等の通信デバイス、そこから得られる膨大なデータ、これらを活用するノウハウがあります。例えば、22年5月に三井物産様とのジョイントベンチャーとして創業したGEOTRA(ジオトラ)は、au携帯電話から得られる位置情報を基に匿名化した人流データを生成し、人々の移動手段・時間・目的などを把握・予測するプラットフォーム・分析サービスを開発しました。これにより都市計画や自治体の防災計画が、より精緻に行えるようになりました。


 ※1 IoT:Internet of Thingsの略称。あらゆるモノがインターネットにつながる技術のこと。


また、23年4月にKDDIグループに参画したフライウィールはビッグデータの活用支援に強みを持っています。独自に開発したデジタルツイン(※2)のプラットフォーム上でお客さまのビジネス活動を再現・シミュレーションすることで、サプライチェーンの在庫量の適正化や通行する人の属性に最適化されたデジタル広告を表示するといった、お客さまのビジネスに新たな価値を提供しています。


※2 デジタルツイン:現実世界のモノや空間をデジタル上で再現する技術のこと。

写真:桑原氏

お客さまの事業成長に貢献する

小谷 お客さまに価値を提供していく上で、KDDI法人事業の強みはどんなところにあるとお考えですか。

桑原 通信事業者として多くのお客さまのネットワークを守ってきた実績、あるいは国内・海外の自動車会社や社会インフラ向けIoTの運用実績、またauのデータやKDDIのさまざまなアセットを活用してお客さまのビジネスをご支援できるところにあると考えます。これからも、お客さまの事業課題に寄り添い、DX実現のために並走し、またその実現手段をグループ会社と連携してワンストップで提供していきます。

小谷 KDDIの法人事業はどのような目標に向けて進んでいくのでしょうか。

桑原 私たちのパーパス(存在意義)は「お客さまの事業成長への貢献」です。これを実現するために「お客さまの売り上げ・利益に貢献」することはもちろん、今後一層重要となる「社会貢献のご支援」との両面で活動していきます。

KDDI自身も、2030年を見据えた「KDDI Sustainable Action」を掲げ、携帯電話基地局や通信設備の脱炭素化を進めています。23年5月から、法人契約のお客さまが携帯電話サービスをご利用いただくことで、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる「グリーンモバイル」を開始しています。今後、法人事業では「グリーントランスフォーメーション(GX)」の実現を目指し、環境問題に貢献するサービス、ソリューションを順次提供していきます。

また、働き手不足への対策として、老朽化した社会インフラ、例えば橋梁や道路、あるいは風力発電の設備点検等にドローンを活用したソリューションで作業を効率化するなど、社会課題に対してもさまざまなご支援をしていきます。

小谷 KDDIが、法人事業を通じて多くの日本企業のDXを支援していることがよく分かりました。今後もKDDI法人事業の取り組みが、日本企業のビジネス変革に貢献していくことを期待しています。本日はありがとうございました。

写真:小谷氏と桑原氏

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