提供:セキュアソフト

サービス&セキュリティ 代表取締役社長 セキュアソフト 代表取締役社長姜 昇旭 氏

フリーアナウンサー 木佐 彩子 氏

前編

エキスパート育て時代に応える

ネットを介したショッピングや金融取引が急速に普及するなか、個人情報保護やサプライチェーン防御のための備えは不可欠だ。こうしたニーズを取り込みセキュリティー関連ビジネスの市場規模は拡大しているが、特にサービス&セキュリティ(SSK)とセキュアソフトの存在感が増している。フリーアナウンサーの木佐彩子氏が、姜昇旭社長らセキュアソフトグループの幹部に「強さの源泉」を聞いたインタビュー内容を2回に分けてリポートする。

01

3年かけて一人前に

姜 昇旭 氏

サービス&セキュリティ 代表取締役社長
セキュアソフト 代表取締役社長

姜 昇旭 氏

(カン・スンウク)東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。2002年株式会社セキュアソフトを立ち上げ代表取締役社長に就任。15年にはサービス&セキュリティ株式会社の代表取締役社長を兼任。現在、総合人材サービスのAnyKan株式会社を含む3社の社長を兼務している。

木佐 サービス&セキュリティ(SSK)とセキュアソフトの業容拡大の歴史からお聞かせください。

 セキュアソフトを創業したときは、セキュリティー関連ソリューションの販売からスタートしました。ただ、ソリューションを導入すればセキュリティーが確保されるわけではありません。セキュリティー機器の運用・監視支援を担う事業に参入したあとは、SSKをグループに加え、サイバー攻撃を監視するサービスを拡充し、セキュリティーシステムの脆弱性を診断するサービスにも参入、さらにセキュリティー人材育成にも取り組み、業容を拡大してきました。

木佐 防御する体制を整えても、新手の攻撃手法を編み出してくる。攻防戦に終わりはないように思えますが。

 まさにその通りです。永遠の攻防戦と言えます。その攻防戦を優位に進めていくには、優秀なセキュリティーエキスパートを育てることが必要です。現在セキュアソフトグループの社員数は約2000人ですが、その中からセキュリティーエキスパートの育成に力を入れています。昨年、社内に「セキュリティー人材育成委員会」という組織を新設し、27年にはセキュリティーエキスパートを約700人まで増やしたいと考えています。

例えば、今までネットワーク分野の仕事に従事していた社員たちへのセキュリティー教育に力を入れています。最近の言葉で言えばリスキリング(学び直し)です。セキュリティー人材を求める顧客企業のニーズは日々高まっていますし、今後ますます増えるでしょう。社会的に求められているセキュリティーエキスパートを育成するということは、社会貢献の面もあると思っています。

もちろん人材育成にはコストがかかります。しかし、これは将来の成長のための投資だと思っています。会社の利益が減っても人材育成に投資すると決めました。ただ、人材に投資するためにも会社を成長させていかなければなりません。昨年、幹部を集めて実施した合宿でこの方針を周知しました。

姜 昇旭 氏

フリーアナウンサー

木佐 彩子 氏

(きさ・あやこ)青山学院大学在学中からテレビ朝日系の番組にキャスター、リポーターとして出演。大学卒業後の1994年にフジテレビ入社。アナウンサーとしてスポーツ番組や報道番組などを担当。現在はフリーアナウンサー。CMに出演するなど、各種メディアで活躍中。

木佐 新卒採用者などはどのように育てていくのでしょうか。

 毎年新卒を約130人、中途入社を約80人採用していますが、採用後の最初の面談で興味のある分野を聞きます。例えば脆弱性診断、インシデントレスポンス運用支援、セキュリティーアドバイザリなど興味のある分野をヒアリングして、できるだけ希望に沿った部門で仕事をスタートしてもらいます。最初の段階で興味を持てないと、仕事が長続きしないからです。そして、一人前のエンジニア、セキュリティーエキスパートになるには少なくとも3年の経験が必要です。

面談後、希望部門が決まれば各分野の担当チームに配属します。このチーム長がとても重要な役目を担うキーパーソンです。各分野チーム長は私が定期的に面談をし、常にコミュニケーションを図るようにしています。チーム長はメンバーたちの話を聞きつつ、顧客企業の要望にも耳を傾け、必要な決断を下していく立場です。まさに現場の指揮官なので、彼らの判断力とパフォーマンスが顧客企業のリスクヘッジに大きく影響します。

木佐 希望に沿って配属した新卒社員たちはそのまま異動させないのですか。

 それはケースバイケースです。ある特定の分野を極めたいという社員ももちろんいます。一方でキャリアパスのためにローテーションを希望し、新たな分野にチャレンジすることで自身の知識や技能を広げていく社員もいます。システム運用を行っていた社員がインシデントを経験したことをきっかけに、セキュリティー対策の重要性を認識し教育を受け、セキュリティー運用監視センター(SOC)に異動した例もあります。そのように、新たな分野に興味を持ち活躍の場を広げていく社員が増えています。

いずれにせよ、社員たちが今どんな希望を持ち、どんなことに悩んでいるのかを知り、対応することが重要です。社員を数十人のグループに分けて会社の目指すべき方針に向けてどう人材を育成するかを議論する合宿を実施するのも、円滑な意思疎通を実現したいからです。

02

「働きがい」感じさせる

木佐 3年程度かけて一人前になったと思ったら、転職したり同業他社に引き抜かれたりしてしまうケースもあるのでは。

 確かにそういうこともあります。IT(情報技術)業界は慢性的な人材不足ですので、当社でも過去にせっかく育て上げた人材が他企業に転職してしまったという事例がありました。しかし、最近ではあまり一喜一憂しないようにしています。当社は社員の平均年齢が32.7歳と非常に若い会社です。個人レベルでみれば、いろいろな可能性を試したいという社員もいると思います。

ただ、幸い最近は離職率が徐々に減っています。会社としては、社員たちが考える自身のキャリアパスになるべく沿うように様々なサポートを行っています。キャリアパスで必要な技術を学ぶための独自の教育カリキュラムと推進メンバーのサポートにより、目標とした業務に従事できることで社員自身の達成感につながります。こういった達成感で、結果的に自分自身が社会に貢献しているというやりがいを得られると思います。

他にも、業務の成果に応じてインセンティブを支給するなど社員の満足度を充実させることがモチベーションの向上につながっています。また最近では、社内でのコミュニケーションの機会も多く設けており、社員同士の連帯感を築けていることも、離職率が減っている要因と考えています。

対談の様子 対談の様子

木佐 今後もセキュリティー業界で競争力を維持・向上させるには何が重要でしょうか。

 まずは、当社のセキュリティー関連ソリューションを通して、お客様に安心・安全を提供し、社会に貢献することが重要です。さらに当社の強みである経験豊富なセキュリティーエキスパート人材が顧客企業のセキュリティー対策を支援いたします。

関連ソリューションと人材サービスの両輪を提供できることが、当社のセキュリティー業界における競争力の源泉であり強みだと考えています。今後も顧客企業のセキュリティー対策を強化することで、今まで以上に社会に貢献する企業を目指します。