NIKKEI 100年の資産形成

2月13日はNISAの日 資産形成 一歩踏み出す挑戦を

資産形成ビギナー 尾崎美紀さんと学ぼう 投資のイロハ、今こそ

DINETTE 代表

尾崎美紀さん

投資で得た利益が非課税になるNISAは、個人の資産を増やすうえで有効に活用したい制度だ。2024年1月から制度の拡充が予定されている今こそ、資産形成への一歩を踏み出したい。DINETTEの代表、尾崎美紀さんとともに、資産所得倍増分科会のメンバーである大江加代さんから投資の心構えを学ぼう。

※尾崎美紀さんの「崎」は、正しくは「﨑(たつさき)」です。

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DINETTE(ディネット)とは?

【Be”ME”「私らしく生きる」を叶える。】をミッションとし、すべての女性が自分らしく輝く社会を目指し事業活動を行う。2017年4月から美容メディア「DINETTE」の運営を開始。ユーザーの声を元に19年2月にコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP(フィービー ビューティーアップ)」をローンチ。国内のコスメD2C企業の中でアイラッシュセラム(まつ毛・目元美容液)を中心に注目を集める。

DINETTE 公式サイトInstagramTwitter

投資で社会を育てる

尾崎 最近になって、周囲の人から投資を始めた話をよく聞くようになりました。私も将来に備えた自分の資産形成は必要だと感じているのですが、コスメブランドの展開や美容メディアの運営を行うDINETTEを立ち上げてから現在6期目を迎えたところで、なかなか自分の資産形成に向き合う時間がとれませんでした。

大江 仕事を始めて家計にも余裕ができ、将来のライフプランを考え始める頃に資産形成を考える人は少なくありません。実際、日本証券業協会のデータによると、NISA利用者は30代がもっとも多いというデータもあるんですよ。

POINT 1 働き世代のNISAの利用者が多い
大江加代さんのコメント「早くから投資を始め時間を味方に!」
折れ線グラフ
※出典 日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年9月30日現在)」
大江加代さんの写真
確定拠出年金アナリスト
大江加代さん

オフィス・リベルタス代表取締役。資産所得倍増分科会(内閣官房)構成員。大手証券会社に22年間勤務後、講演や執筆などを通じて社会人の資産形成をサポートする活動をしている。

尾崎 NISAは聞いたことがあります。近く、制度が拡充されるというニュースを耳にしましたが、私にも関係あるのでしょうか?

大江 そもそもNISAとは投資によって得られた利益が非課税になる制度で、個人の投資を通じた資産形成を後押しするべく始まりました。岸田政権下での「資産所得倍増プラン」でも、投資可能額を増やしたり、期間の制限をなくしたりして、その利用を活発化させようとしているんです。

尾崎 国も推奨しているということは、やはり、将来に備えた資産形成が必要なのでしょうか?

大江 一人ひとりのライフプランを見据えてお金のことをじっくり考えることはもちろん、投資を通じて企業や社会を応援する意義もあります。尾崎さんはDINETTEの経営者として、出資される側にいらっしゃるため、実感していると思いますが、投資の本質は、株価を見てお金もうけをするマネーゲームやギャンブルではありませんよね。未来に必要な企業へ投資することで、成長を支援した結果、利益の一部が還元される。また、世の中の役に立つ商品やサービスが提供され、豊かな社会がつくられていく。これが投資本来のあり方だと私は考えます。自分が企業や社会にお金を回していくことで、より社会は元気になっていくのです。最近では、ESG(環境・社会・企業統治)投資という言葉もありますが、昔から世の中をよくする企業や投じたお金を生かしてくれる企業にお金は集まってきました。

尾崎美紀さんの写真

尾崎 経営者の立場として、調達したお金の使い道を考える大切さは、身に染みて感じています。例えば、設備投資。リモートワークも増えていますが、やはりオフィスの居心地は社員のモチベーションやパフォーマンス向上にもつながると思うので、従業員数の増加に合わせてほぼ毎年、オフィスを移転しています。また、ベンチャー企業では「人手があれば実現できるのに」と思うことも少なくないので、雇用にも大きな予算をかけています。これも投資ですよね。

大江 投資したお金がどのようなことに使われ、それが企業の発展やサービスなどにどのような効果をもたらすのか、自分の投資先を見ていくことは私たちの投資でも重要です。尾崎さんの将来のビジョンを伺ってワクワクしたように企業業績だけでなく、その企業がつくり出したいと考える未来を明るく感じられるか、といった視点も大切ですね。

尾崎 投資と経営者の視点は非常によく似ているのですね!

まず積み立てから

尾崎 個人の資産形成では、まず何を始めればいいのでしょうか?

大江 幅広い投資対象に分散投資したいのであれば投資信託が有力候補になります。投資対象が分散されていると、ある銘柄で損失が出ても別の銘柄でカバーできます。

尾崎 投資信託には多くの銘柄が含まれているものなのですね。私の場合、自分の購入した投資信託にどんな企業が含まれているのか気になって徹底的に調べてしまいそうです。私自身、起業してから業種を問わず、いろいろな企業の動向をより注目するようになりました。

大江加代さんと尾崎美紀さんの写真

大江 投資信託に含まれる銘柄に興味を持つ、それはとても大事なことです。投資信託を通じて投資する先にどんな企業があるのか、どれくらいの値動きが想定される商品なのかがわかっていないと、値下がりをした際に不安になって損をしたまま売却してしまう可能性があります。でも、最悪の事態があらかじめ想定できていれば、冷静に向き合うことができるでしょう。

尾崎 自分が興味を持っている企業や応援したい企業への投資にチャレンジしたいです。理由を持って企業を選ぶ気持ちは大事にし続けたいと思います。実際の購入にあたってはどんなことを考えればいいのでしょうか?何かコツはありますか?

大江 大切な資金をなるべく安定的に運用するには「長期・積み立て・分散」を組み合わせるのが効果的です。定額をコツコツと積み立てていく方法は、手間がなく、相場環境に左右されずに投資を続けていけるのでおすすめです。人生100年時代だからこそ、時間を味方につけて長期的に資産形成をすることが大事です。

POINT 2長期投資で元本割れのリスクを下げる

資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用成果の実績【保有期間別(5年、20年)】※4

大江加代さんのコメント「途中で売ったり積立投資をやめてしまうと効果は弱くなります」
保有期間5年
保有期間5年のイメージ図
保有期間20年
保有期間20年のイメージ図
※4 1985〜2020年の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買い付けを行ったものです。各年の買い付け後、保有期間が経過した時点での時価をもとに運用結果および年率を算出しています。過去の実績をもとにした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではありません。運用管理費用は含みません。
※出典 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」

少額でも投資を

尾崎 投資と聞くと、ある程度まとまった資金が必要なのではないか?と思っている人も多いと思いますが、少額からでも始められるのですか?

大江 よく聞かれるのですが、少額から可能です。無理のない範囲で始めて、続けることが大切です。NISA制度の拡充は来年からですが、今年からでもNISAを活用してみることをおすすめします。非課税保有限度額とは別枠になるので、ぜひ今年から挑戦してみてください。

尾崎 大江さんの話を聞いて、投資を通じた資産形成のイメージが変わりました。社会や企業を応援したいという気持ちを投資につなげる、という考え方はとても勉強になりました。

大江 資産形成への一歩を踏み出してみると、情報収集や決断を行っていくなかで学べることも多いでしょう。投資を通じて世の中のお金の流れや成長している企業の取り組みを知ることは、ビジネスセンスを磨き、これからの社会を生き抜く力を育むことにもつながるはずです。みんなで一緒に学ぶ場を広げていきたいですね。

NISAのこと、もっと知りたい 教えて! 大江さんQ&A

QNISAの新制度は2024年からですが、いまから始められますか?
A制度拡充のタイミングを待つ必要はなし。ぜひ今年から始めましょう。

新しいNISAでは、非課税の期間が無期限になりますが、保有限度額は1800万円までという枠が定められます。今年、現行NISAで投資するとこの枠に含まれない別枠のため、23年から始めたほうが、より多くの投資ができます。(ただし、非課税期間は一般NISAなら5年、つみたてNISAなら20年という期限付きです)

QつみたてNISAと一般NISAはどんな違いがありますか?
AつみたてNISAでは金融庁の要件を満たす投資信託のみが購入できますが、一般NISAでは株・投信など幅広い金融商品を購入できます。
  NISA つみたてNISA
対象年齢 18歳以上 18歳以上
年間投資枠 120万円 40万円
運用時の税制メリット 非課税5年間 非課税20年間
購入可能な商品 株・投資信託・ETF・REIT 一定条件を満たした投資信託とETF
※現行制度
■2023年2月時点。「一般NISA」口座と「つみたてNISA」口座は併用不可。「NISA」口座を開設する金融機関は1年単位で変更可能。また、「NISA」口座内で、「つみたてNISA」と「一般NISA」を1年単位で変更することも可能。ただし、「つみたてNISA」で既に投信を購入している場合、その年はほかの金融機関または「一般NISA」への変更は不可。「一般NISA」から「つみたてNISA」への変更時も同様。
Qお金や資産形成のことはどのような場で学べますか?
A協会や金融機関のウェブサイトやeラーニングで学ぶ他、セミナーに参加するのもいいでしょう。

お金の学びの機運は高まっています。多くの情報に触れられる現代だからこそ、自分にとって正しい情報かどうかを見極めることも大切です。NISA制度や金融商品に関して不明な点があれば金融機関の担当窓口に確認しましょう。

大江加代さんと尾崎美紀さんの写真