2人の女性リーダーの歩みとこれから

石坂産業の石坂典子さん(写真左)とインフォステラの倉原直美さん(写真右)。ともにそれぞれの業界で注目される魅力的な女性リーダーだ。石坂さんは「ボールド ウーマン アワード」、倉原さんは「ボールド フューチャー アワード」のファイナリストに選出された(ファイナリストの詳細はこちら≫)。お二人の職場で、これまでの歩みと今後のビジョン、事業をけん引するモチベーションなどについてお話をうかがった。

Bold Woman Award ファイナリスト インタビュー

ゴミをゴミにしない
循環型社会を目指して

家業の産業廃棄物処理会社をリサイクルの先進企業へと見事に転身させた石坂産業の石坂典子さん。
彼女を駆り立てたのは、いったい何だったのか?

石坂典子さん

石坂産業 代表取締役 
石坂典子さん

高校卒業後、米国の大学へ留学。帰国後、父親が創業した石坂産業へ入社し、2002年に社長就任。地域に愛される企業となるため、プラントの全天候型化、ISO7種統合マネジメントシステムの導入、見学の受け入れといった改革を次々と断行した。現在では新たなビジョン「Zero Waste Design」を掲げ、循環型社会の実現を目指す

まっすぐな思いで突き進む

逆風の中での社長就任だった。石坂産業の本社がある埼玉県入間郡(三芳町)に隣接する所沢市で、かつて誤報によるダイオキシン騒動が起こった。元凶とされたのが、この地域に多い産業廃棄物処理業者だ。それ以前に15億円をかけて、ダイオキシン対策の最新鋭の焼却炉を導入していた石坂産業も「環境を汚染する会社は出て行け」と地元住民から強烈なバッシングを受けて存続の危機にあった。そんな騒ぎの最中に石坂典子さんは父親が起こした同社を継ぐことを決意した。

「父に改めて創業の思いを聞いてみたんです。すると彼は“ゴミをゴミにしない社会”を目指して創業したと。そもそも産廃処理は誰かがやらなければならない仕事です。風評被害で弱っていた父に直談判して、社長をやらせてほしいとお願いしました」

家業、そして業界全体のイメージを変えるため、石坂さんは大なたを振るう。メインの事業だったゴミ焼却事業からは撤退。細々と手がけていた、建設現場からの産業廃棄物のリサイクルに軸足を移すことにした。工場からは煙突が消え、かわりに粉塵などが外に飛ばないように、すべての設備を敷地内に収めた全天候型の総合プラントの建造に着手する。総額40億円にも上る巨額の投資となり、考えについていけない従業員の大量離職も招いたが、不思議と不安はなかったと石坂さんは振り返る。正しいことをしているという、まっすぐな思いが彼女を突き動かしたのだ。

地域に愛される企業へと再生

石坂典子さん

リーダーとして判断に迷ったとき、石坂さんはいつも二つのマイルールに照らし合わせて決断しているという。「ひとつは創業者の思いに即しているかどうか。もうひとつはその道が社会にとって本当に正しいことかどうか。会社の利益だけで判断することはありません」

それから20年。石坂さんの強いリーダーシップのもと、石坂産業は産業廃棄物処理企業からリサイクル先進企業へと見事に転換を遂げる。現在、同社における廃棄物の減量化・リサイクル化率は98%。これは業界水準を大きく超える数値だという。近隣住民からの理解を得るために、すべての処理過程を“見える化”したプラントには国内外から見学者がひっきりなしに訪れる。

石坂さんは不法投棄が絶えなかった地元の里山の再生にも乗り出した。地主に声をかけ、本社とプラントを内包する東京ドーム4個分の敷地を体験型の里山環境教育フィールド「三富今昔村(さんとめこんじゃくむら)」として開放した。四季折々の多彩なプログラムも好評で、子供からお年寄りまで年間4万人以上が訪れる人気スポットとなっている。地域の方々のリピーターも多い。

「私たちがやっているのは循環事業。廃棄物を埋めたり燃やしたりするのではなく、できる限り再生を目指す。活動そのものがこれからの正しい社会のあり方でもあると考えています。里山という自然環境の再生に乗り出したのも、そんな循環型社会への取り組みの一環。もちろん根底には地域の方々に、もっと愛される会社になりたいという思いもありました。実は里山保全と地域振興を結びつけるべく温浴事業も計画しています。つい最近、温泉を掘り当てたところなんです」

石坂産業

産廃処理の全過程を“見える化”した全天候型プラント。太陽光発電や雨水循環システム、自然光の取り込みによる照明設備の電力削減など、地球環境に配慮した設備や工夫が随所に導入されている。CO2の削減を目指し、業界初の電動式油圧ショベルもメーカーと共同開発した

女性経営者だからこそできることがある

今回、ボールド ウーマン アワードのファイナリストに選出されたことについて、業界で働く女性の代表として非常に光栄に感じていると石坂さんは語る。かつては完全に男性社会だった産廃業界だが、彼女が社長に就任して以降、同業他社でも女性経営者が徐々に増えてきたそうだ。

「同業の経営者の方が娘さんを伴って相談に来られることもよくあります。娘に事業を継がせたいのだが、大丈夫だろうか、と。そんなときには女性経営者だからこそできることや気づきがいっぱいありますとお話ししています。ただ、私自身は“女性経営者”という言葉は、そんなに好きじゃないんです。経営者を男性と女性で区別するという考え方自体が古いとも思う。それでも、いまだに女性経営者と特別視されるのは、社会がそこまで成熟していないからなのでしょうね」

ちなみに石坂産業は現在、管理職の多くを女性が占める。間接部門では6割が女性。意識的にそうしたわけではない。人材を適切に評価した結果だという。

「マダム・クリコさんの時代には考えられないことでしょうね。だからこそ、このアワードの意義があるとも思います。女性の社会進出がまったく考えられなかった時代に、彼女のような人が立ち上がったからこそ、今の私たちがある。このアワードは、そうした過去の時代背景や今に至るまでのプロセスをしっかりと伝える、とてもいい機会です。未来へつなぐ橋渡しにもなると感じています」

石坂産業

かつて不法投棄のゴミであふれていた周辺の雑木林を、里山のあるべき姿に戻し、本社とプラントを内包する広大なサステナブルフィールド「三富今昔村」として開放。さまざまな体験型プログラムを提供している

古いものを次の世代に継承したい

石坂産業は現在、廃棄物の減量化・リサイクル化率を98%達成しているが、これを100%にするのは今の技術ではかなり困難だという。製造の段階で混合された化学薬品などをどうしても分離・分解できないからだ。だから石坂さんは、100%のリサイクル化に向けて製造業への働きかけも積極的に行いはじめた。「廃棄物を再エネルギー化する事業にも着手しました。究極の目標は、創業者の思いでもある“ゴミをゴミにしない社会”の実現。我々だけでは成し遂げられないことですから、どうすれば多くの人の共感が得られるかを日々考えています」

そんな大きな目標に向かって多忙な日々を送る一方、最近は自分の時間も大事にするようになってきたそうだ。

「今までは仕事と家族のことばかりに時間を費やしてきましたが、50歳を前にして、そろそろ自分自身の幸せをもう少し大切にしてもいいのかなと(笑)。自然が好きなので、もっと外に出かけて自分を解放させたいですね。そういえば最近、古いアメリカのスポーツカーを購入し、こつこつとレストア(復活)してもらっているところです。実は私は昔から古いものが好きで、アンティークの家具や食器、50年前のハーレー(ダビッドソンのバイク)なども所有しています。こういうものを愛情かけて手入れする時間がとても好きなんです。そして、ゆくゆくは次の世代に継承したい。これも循環ですよね。子供たちはなぜいつも古いものばかりと文句を言っていましたが、ことあるごとに、その歴史や価値について説明していたら、私のものをとても欲しがるようになりました。それが私自身、とてもうれしいんですよね(笑)」

石坂典子さん

50歳を前にして、そろそろ自分自身の幸せをもう少し大切にしてもいいのではと思い始めたという石坂さん。「自然が好きなので、もっと外に出かけて自分を解放させたいですね」と語る

石坂典子さん
リサイクル化率98%を
実現した原動力とは?

石坂典子さんのインタビュー動画はこちら
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Bold Future Award ファイナリスト インタビュー

宇宙への憧れから
衛星通信ビジネスへ

衛星通信アンテナをシェアリングする画期的なサービスを思いつき、インフォステラを立ち上げた倉原直美さん。
宇宙ビジネスの世界で今もっとも注目される起業家の一人だ。

倉原直美さん

インフォステラ 
共同創業者/代表取締役CEO 
倉原直美さん

2010年、九州工業大学で電気工学の博士号を取得。在学中はJAXAと共同でイオンエンジンと宇宙プラズマ環境の研究を行った。卒業後は東京大学の博士研究員として小型衛星プロジェクトの衛星運用システムおよび地上局開発のマネージャーを務める。衛星管理システム企業でシステムエンジニアとして勤務後、2016年にインフォステラを起業

人工衛星の通信利用における
大きなハードル

ずっと宇宙に憧れていた。おそらくきっかけは幼い頃に日本人で初めて宇宙ステーションに行った秋山豊寛(とよひろ)さんのニュースを見たことだと倉原直美さんはいう。

「あの頃はスペースシャトル全盛期でもありましたから、その後も毛利衛(まもる)さんや向井千秋さんらが宇宙に行って、日本中が盛り上がっていました。それですっかり影響されたんでしょう。読書好きだったから宇宙を舞台にしたSF小説も夢中になって読みました。とくにお気に入りは田中芳樹(よしき)さんでしたね」

宇宙に関わる仕事に就きたくて、九州工業大学大学院では人工衛星とプラズマ観測装置 の研究に従事。その後、人工衛星の運用や管制に関する研究者・システムエンジニアとしてキャリアを重ねるなか、人工衛星のポテンシャルを活用するには大きな問題があることに気づいた。

近年は人工衛星の小型化・低コスト化が進み、高度400〜1000kmほどの地球の低軌道を周回する衛星が年間200基以上も打ち上げられている。ただ、そうした衛星は地図上で見ると、ずっと移動し続けているため、特定の地点にある地上局アンテナと通信できるのは1回10分程度だそうだ。しかも1日に3、4回程度の通信機会しかない。ひとつの衛星から大量のデータを取得したい場合には世界中にアンテナが必要となる。

「せっかく人工衛星に多くの観測データが集まっているのに、それを簡単に下ろせないわけです。ここを誰かが整備しないと宇宙産業は絶対に盛り上がらない。だったら自分でやろうと思ったのがインフォステラを起業した経緯です」

世界中の地上局アンテナを
ネットワーク化したい

倉原直美さん

倉原さんは、自身をビジョナリー型の経営者だと分析する。「判断に迷った時は必ず何がやりたかったのか、何が目標だったのかに立ち返り、そこから逆算して、そのビジョンに近い方を選択するように心がけています」

倉原さんが考えたのは、衛星運用者と地上局所有者の双方に向けたアンテナのシェアリングサービスだ。クラウド上にプラットフォームを作ってアンテナをネットワーク化すれば、新たにアンテナを設置することなく、衛星から大量のデータを取得でき、逆に衛星にデータを送ることもできる。

2016年にインフォステラを立ち上げ、17年には8億円の資金調達を達成。18年末についにサービスをスタートさせた。

「使命感で突っ走ってきましたが、起業後は次から次へと大変なことが目白押し。そもそも資金調達から大変でしたし、18年にフルサービスをローンチしてからも最初のお客様を獲得するまで相当苦労しました」

事業内容を説明する際はいつも、この企業は大丈夫なのか、来年は存続しているのかと不安視されるところからのスタートだったという。トップが若い女性ということも、しばしばネガティブな要素として見られたようだ。

「それが事業を進めるうえでの障壁になったとまでは思いませんが、女性をバイアスのかかった目で見る風潮は社会にまだあるなと感じました」

インフォステラは今年、米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」との提携を発表。AWSの通信設備を活用すれば、地上のほとんどの地域を同社のアンテナシェアリングサービスでカバーできるようになるという。

「そこを早めに整備するのが当面の弊社のマイルストーン。そうなれば劇的に宇宙産業は盛んになると考えています」

インフォステラ

インフォステラは、周回衛星に集まるビッグデータを効率よく活用するため、世界中の地上局アンテナをクラウドベースのソフトウェアプラットフォーム「StellarStation」でネットワーク化するサービスをスタート

宇宙に行く夢は絶対にあきらめない

インフォステラの地上局ネットワークサービスを軌道に乗せたばかりの倉原さんだが、温めている宇宙ビジネスのアイデアはまだまだ無数にあると目を輝かせる。そんな彼女の強みは「簡単には、あきらめない」という性格だ。

「絶対にダメだということって、そうはないと思うんです。自分が就職活動をしたとき、宇宙関係の進路はものすごく狭き門。私は成績がそこまで良くなかったので、JAXAなどには入れませんでした。それでも何か宇宙に関わる道はないかと必死に模索したら、実はいろいろあった。それがつながって今に至っています。だから若い人たちにも、やりたいことを見つけたら簡単に手放さず、ぜひそこにしがみついてほしいと言いたい。いっぱい情報を収集して、これがやりたいと声をあげ続ける。そうすれば、きっと道は開けてくるはずです」

ちなみに倉原さんの子供の頃の夢は宇宙飛行士になることだった。いまだ宇宙に行くことはあきらめていない。

「ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクなどにより商用の宇宙旅行がいよいよ本格化してきたなと実感しています。今はまだ一部のお金持ちだけの世界ですが、もう少ししたら誰もが宇宙に行ける時代が本当にやってくる。だから私にもチャンスがある。行くとしたら宇宙ステーションのある高度400km……いや月まで行ってみたいですね。私の人生のなかで実現すると信じています」

インフォステラ

宇宙産業やIT分野のトップ企業での業務経験を持つ研究者やエンジニアで構成されるインフォステラのメンバー。東京とイギリスにオフィスを置くが、フレキシブルなワークスタイルだ

時代にふさわしい新しい働き方を実践

インフォステラのスタッフは、宇宙工学からソフトウエア開発まで幅広い分野にまたがる多彩なメンバーで構成される。チームは日本、イギリス、アメリカに分散しており、そのためコロナ禍以前からフレキシブルな働き方を推奨してきた。

「グローバルな会社を経営するうえでも、それは必要なことでした。いろんなタレントを引きつけるという点でもメリットは大きかったかなと考えています」

それは才能ある女性が働きやすい環境でもあるということだろう。実は倉原さんはスタートアップの直後に妊娠が判明。資金調達で大変な時期だったが、メンバーの助けを借りながら乗り切り、出産後1カ月で仕事に復帰したが、子供が保育園に入れず子連れで出勤することになったという。そんな自身の経験もあり、今後も同社はオフィスが持つ役割の変革や新しい働き方の提案などに積極的に取り組んでいくそうだ。

「一人の働く母親としてボールド フューチャー アワードのファイナリストに選出されたことをとてもうれしく感じています。それは仲間たちも同様。私たちのようなスタートアップ企業は、何か一つ乗り越えるごとにみんなでシャンパーニュを抜いてお祝いすることが多いんです。このアワードは、そのシャンパーニュの名門メゾンであるヴーヴ・クリコが創設したもの。だからなのか、社のメンバーはみんなとても喜んでいました(笑)。なんだか私たちの会社がマダム・クリコさんに励まされたような気もしています」

倉原直美さん

子供の頃の夢は宇宙飛行士になることだったという倉原さん。「誰もが宇宙に行ける時代がやってくる。だから私にもチャンスがある。行くとしたら宇宙ステーションのある高度400km……いや月まで行ってみたいですね。私の人生のなかで実現すると信じています」

倉原直美さん
宇宙への憧れから
衛星通信事業へ

倉原直美さんのインタビュー動画はこちら
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Bold Woman Award

既存の業界に変革をもたらし、真のロールモデルとしてその優れた取り組みを通じ、
次世代にインスピレーションを与える女性リーダーに贈られる。

石坂典子氏
活動風景

石坂典子

石坂産業株式会社 代表取締役

石坂典子氏 石坂産業株式会社 代表取締役

石坂典子氏
活動風景

減量化・リサイクル化率98%
以上の産廃処理会社運営

米国の大学へ留学後、石坂産業へ入社。「廃棄物ゼロの社会をつくりたい」という創業者である父親の思いに共感し会社を継ぐ。2002年に社長就任。徹底した分別と独自技術で、98%以上の減量化・リサイクル化率を達成。プラントの全天候型化、ISO7種統合マネジメントシステム導入をはじめ、里山保護活動やオーガニックファーム運営にも取り組む。サスティナブルフィールド「三富今昔村」で環境教育プログラムを提供中。2021年「企業広報経営者賞」受賞。

小林りん氏
活動風景

小林りん

学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジ ISAKジャパン 代表理事

小林りん氏 学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジ ISAKジャパン代表理事

小林りん氏
活動風景

全寮制国際高校を設立し
チェンジメーカーを育成

高校時代にメキシコの貧困地域を訪れ、その経験から東京大学で開発経済を学ぶ。卒業後、外資系金融機関等を経て、ユニセフ職員としてフィリピンの貧困層の教育支援に携わる。2014年、日本初の全寮制国際高校を設立し、生徒の7割に奨学金を提供。2017年には世界的国際教育機関のUWCに加盟、2020年から国際理事も務める。現在、約80カ国から生徒が集まり、未来社会の変革者を志す。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー、EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤーなど受賞多数。

林 千晶氏
活動風景

林 千晶

株式会社ロフトワーク 共同創業者 取締役会長

林 千晶氏 株式会社ロフトワーク 共同創業者 取締役会長

林 千晶氏
活動風景

世界のクリエイターをつなぐ
カンパニーを統率

早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒。会社員を経て、2000年、「クリエイティブの流通」をミッションに掲げ、ロフトワークを起業。Web、コンテンツ、空間などをデザインするクリエイティブ・カンパニーを運営。グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、素材の新たな可能性を探求する「MTRL」なども運営。グッドデザイン賞審査委員、経済産業省産業構造審議会製造産業分科会委員なども務める。

Bold Future Award

今日のマーケットギャップを最大限に利用し、テクノロジーやスタートアップなど、
ビジネスに革新的な提案やアプローチをもたらす新時代のリーダーが対象。

倉原直美氏
活動風景

倉原直美

株式会社インフォステラ 共同創業者・代表取締役CEO

倉原直美氏 株式会社インフォステラ 共同創業者・代表取締役CEO

倉原直美氏
活動風景

周回衛星用地上局の
プラットフォームを
シェア

九州工業大学大学院で工学博士号を取得。東京大学では博士研究員の経験を積み、衛星管制システム企業に勤務後、起業。柔軟性と拡張性に優れたクラウドベースの地上局プラットフォームを開発。衛星運用者は一度のセットアップで世界中の地上局にアクセスすることができ、一方で地上局オーナーは非稼働時間を他の運用者に貸し出すことにより収益につなげられると考える。宇宙とインターネットが常時、接続されている未来を目指す。

坪内知佳氏
活動風景

坪内知佳

株式会社GHIBLI 代表取締役

坪内知佳氏 株式会社GHIBLI 代表取締役

坪内知佳氏
活動風景

直販やコンサルなど漁業の
6次産業化を推進

2010年、縁あって、全く知見のなかった漁業の世界に飛び込み、漁師たちと「萩大島船団丸」を結成。生産・加工・販売まで一貫して行う、全国初の漁業6次産業化の認定を農林水産省に申請し、実現を果たす。2014年、株式会社GHIBLIを設立。朝採れした水産物を箱詰めして、都会の消費地へ直送する「鮮魚BOX」事業などを行う。一方では規格外パールをつかい、デザイナーに依頼してジュエリーブランド化させた和玉真珠の六次化事業も始まった。

米良はるか氏
活動風景

米良めらはるか

READYFOR株式会社 代表取締役CEO

米良はるか氏 READYFOR株式会社 代表取締役CEO

米良はるか氏
活動風景

日本初国内最大の
クラウドファンディング開始

2011年、日本初のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を開始。14年に法人化し、CEOに就任。現在までに95万人から約200億円の資金を集める国内最大級のクラウドファンディングサービスに成長。キュレーターと呼ばれる担当者が各プロジェクトをマンツーマンでサポートし、達成率は75%に上る。既存の資本主義ではお金が流れにくい分野、主にNPOや医療機関、研究分野などに資金調達の手段を展開している。

Bold Woman Award、
Bold Future Awardとは

ヴーヴ・クリコの興隆の祖は、若き女性経営者のマダム・クリコだった。この史実を鑑み、同社は創立200周年となる1972年に、大胆な精神、独自の創造力、そして起業家精神と多様性をもつ世界の女性リーダーを表彰し、支援する「ヴーヴ・クリコ ビジネス ウーマン アワード(現ボールド ウーマン アワード)」を創設。2014年からは、次の時代をつくる新しい女性リーダーを表彰する「ボールド フューチャー アワード」も新設された。これまで27カ国350人を超える起業家が両賞に名を連ねている。

加えて2019年からは、女性による起業に影響を与える文化的・体制的な要因を各国で調査し、知見を発表する試み「ヴーヴ・クリコ インターナショナル バロメーター」を実施。日本を含む14カ国で始まり、昨年はさらに3カ国が追加。世界の起業家インデックスにおける日本のランキングは47位/100であるが、実は日本は起業家の性別におけるギャップが少ない国だという結果も挙がっている。

さて2021年の日本での「ボールド ウーマン アワード」「ボールド フューチャー アワード」審査では、ともに3人の女性リーダーたちが最終選考に名を連ねた。前者の審査指標としては、既存の業界に変革をもたらし、真のロールモデルとして次世代にインスピレーションを与える女性リーダーである点などが重んじられる。

一方で後者は革新的な提案や新業態への挑戦などに着目する。そして共通の指標として、責任ある持続的なビジネスの実践、支援的な職場環境の育成などが挙げられる。いずれのリーダーも明確なビジョンをもち、夢のある未来像に向けて活動する逸材だ。11月29日(月)のアワード発表を心待ちとしたい。

「ラ・グランダム=偉大なる女性」と
呼ばれたマダム・クリコの意志

マダム・クリコの晩年の肖像画。

マダム・クリコの晩年の肖像画。

19世紀、小さな家族経営の会社を、フランスを代表するシャンパーニュ・メゾンへと発展させたマダム・クリコ。急逝した夫から会社を受け継いだのは、27歳の時だった。経営はおろか、女性が仕事に就くこと自体、考えられなかった時代である。

マダム・クリコこそ大胆な起業家精神と、豊かで独創的な発想力をもつ人物だった。禁止されていたロシアへのシャンパーニュ輸出を実現させ、いち早く経営の国際化に乗り出す。シャンパーニュの品質と味わいを、今日のスタイルに確立したのも彼女だ。元々ワインの瓶にはオリが残るものだが、マダムは動瓶台を発明してオリを除き、シャンパーニュを透明にすることを成し遂げた。史上初、単一年収穫のブドウだけでつくられるヴィンテージ・シャンパーニュを生み出したのも、さらにはブレンド法によるロゼ・シャンパーニュを完成させたのもマダム・クリコだ。

今日もマダム・クリコは、シャンパーニュの「ラ・グランダム=偉大なる女性」と呼ばれ、広く称賛されている。その89年の人生は、まさしく近代における女性起業家、そして女性リーダーとして、稀有な輝きを放つ歩みだった。

Bold by ヴーヴ・クリコ
「Bold Women Award 2021!」

初オンライン開催となる今年、11月29日(月)に受賞者が決定する。
今年は、ファイナリストによるパネル・ディスカッションや女性アーティストによる
ライブエンターテイメントを含む「Bold Conversation(ボールド カンバセーション)」もあわせてお届けする。

「Bold by ヴーヴ・クリコ」は、より多くの社会的側面において、また重要な決定事項に対して女性が参加し包含される世界をめざし、女性の影響力を国際的に高めていこうとするプログラムです。

年間を通じて様々なプログラムが組まれており、その中心となるのが「Bold Women Award (ボールド ウーマン アワード)」であり、「Bold Conversation(ボールド カンバセーション)」です。

時をへて、社会の進化に応え勇敢に柔軟に。女性の活躍そして成功における指標は今日多岐におよびます。マダム・クリコがそうであったように、未来を切り開く勇気と個性そして革新の精神をもち、あらゆる分野においてあらゆる女性たちにインスピレーションを与えることのできる女性、多彩な経歴を持ちその経験の蓄積を素晴らしい英知に変える女性リーダーの声を広く届け、次世代の勇気そして情熱に変換していく試みです。