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KDDI法人ビジネス部門に「DX推進本部」を新設

「DX経営課題解決持続可能社会への貢献目指す」
~ 上村幸夫本部長インタビュー 〜

上村 幸夫

KDDI株式会社
ソリューション事業本部
DX推進本部長

パンデミック(世界的流行)の沈静化により社会全体が日常を取り戻しつつあるなか、各企業では経営課題解決や新規事業創出に向けたデジタル変革(KDDIではこれをビジネスDXと定義)に取り組もうという機運が高まっている。しかし、社内のリソースだけでDXを推進するには限界があり、豊富な知見をもつパートナーとの協業を求める企業も少なくない。そうした企業への支援をさらに強化するために、KDDIは法人ビジネスを担当するソリューション事業本部の組織を改編。ビジネスDX・開発関連部署を集約し、DX推進本部を発足させた。新たに始動したDX推進本部が目指すゴールはどこにあるのか。本部長に就任した上村幸夫氏に話を聞いた。

ビジネスDX関連部署を集約した
新組織を設立

―― KDDIは2022年4月の組織変更で、ソリューション事業本部に「DX推進本部」を新設しました。DX推進本部を設立するに至った経緯についてお聞かせください。

上村 KDDIは2016年から、ビジネス現場が抱える課題解決に、お客さまと一緒に取り組むスローガン「本業貢献」を掲げてきました。具体的にはお客さまに必要とされるパートナーを目指す取り組みです。そのような中、新型コロナウイルス禍によってさまざまな業種業態でビジネスを見直さなければならない状況となり、デジタル技術でお客さまの変革をさらに強力に支援し、本業貢献を進化させることが重要だと考えるようになりました。

 ハイブリッドワーク対応をはじめとする社内のデジタル化はコーポレートDXと定義していますが、こちらについては多くのお客さまが一定の成果をあげているように感じます。しかし、テクノロジーを使って新たな事業を創出するビジネスDXに関しては、なかなか思うように進んでいないというのが現状ではないでしょうか。

 そこで、ソリューション事業本部内に分散していたビジネスDXに関連する部署を集約してDX推進本部を新設したのです。部署を垂直統合することで、お客さまのご要望にスピーディーに応えられる体制を整えました。

―― DX推進本部の体制についてお聞かせください。

上村 DX推進本部は、「DXにより経営課題・社会課題を解決し持続可能な社会に貢献する」というミッションを掲げ、営業を担当するビジネスデザイン本部と連携しながら主に技術的な側面でお客さまを支援していきます。

 DX推進本部のなかには、営業と一緒にお客さま対応にあたるSE部門、ご要望に沿ったシステムを開発するソフトウエア開発部門、多くのお客さまが共通利用できる汎用的な商材を開発するサービス企画部門、DX推進本部全体を統括する企画統括部門などがあり、総勢400人体制でお客さまをサポートしています。また、2022年5月に戦略子会社KDDI Digital Divergence Holdingsを設立しました。傘下にクラウドやアジャイルを専業にしている会社や、プロジェクト管理やスクラム導入支援を進める会社を擁しており、こちらとも知見を共有しながら、KDDIグループにおけるDX推進の中心的な役割を担っていきます。

図:KDDIのDX推進体制
図:KDDIのDX推進体制

IoTと5Gを中心にビジネスDXを支援

写真:上村 幸夫 氏

KDDI株式会社
ソリューション事業本部
DX推進本部長
上村 幸夫

―― KDDIがDX推進本部を設立するに至った背景として、いまの日本にはどのような課題が顕在化しているとお考えですか。

上村 日本ではいま、少子高齢化による人口減少問題、脱炭素社会を目指すエネルギー問題など、さまざまな社会課題が顕在化しています。これらは日本社会の課題であると同時に、企業経営に直結する課題でもあります。例えば、人口減少で労働力が不足すればモノづくりの品質低下を招くおそれがありますし、エネルギーの調達コストが上昇すれば企業の収益を圧迫することにつながります。私たちには、有限のリソースをどれだけ効率的に活用して課題を解決していくかが問われていると考えています。

―― そうした課題を解決してビジネスDXを推進するには、どのような技術要素が重要になりますか。また、KDDIにはどんな強みがありますか。

上村 これからは通信があらゆるものに溶け込み、そこで収集したデータを活用してビジネスを効率化したり、新たなビジネスを生み出したりする時代です。そうした時代に向け、KDDIには通信以外のさまざまな技術的な価値を提供することが求められています。

 なかでも重要な技術要素と言えるのが(あらゆるものがネットにつながる)IoT技術です。KDDIは20年以上にわたってIoT事業に取り組み、すでに全世界で2,450万回線以上(2022年度3月時点)を提供しています。もう一つ、重要な技術要素となるのが5Gです。KDDIは基地局からネットワークまで5G設備だけで構成する「5G SA(スタンドアローン)」※1をリリースしており、お客さまが5Gの真のメリットを享受できるようになります。

 ビジネスDXを実現していくには、単に必要な技術要素を取り入れるだけでなく、試行錯誤を重ねながら改善を繰り返す必要があります。こうした地道な作業ができるところが当社の大きな強みです。

※1 5G SA:コア設備を含めて5G技術のみで通信を可能とするシステム。高速・大容量通信に加え、ネットワークスライシングなどの新たな機能の実装が可能になる。従来では有線回線が利用されていた産業へ5G SAを導入することで、無線化による業務効率化や低コスト化が期待される。

実績を積み上げ信頼されるパートナーに

―― DX推進本部はビジネスDXを推進する企業に対し、どのような支援を行っていけますか。

上村 具体的な取り組みの一つに、国内大手自動車メーカーのグローバル通信プラットフォームの構築を支援したコネクテッド・モビリティ関連の事例があります。すでに世界5地域でサービス展開を行っており、現在はこの基盤を最大限に活用した新しいビジネス領域の開拓を目指し、自動車メーカー各社と協業しています。

 また、LPガス事業者向けにガス検針プラットフォームを提供した事例もあります。ガス会社は検針員などの働き手が不足するという深刻な経営課題を抱えています。この課題を解決するためにガスの自動検針を実現するプラットフォームを開発し、運用を開始しました。現在は他のLPガス事業者をはじめ、都市ガス事業者、水道事業者への横展開を視野に入れながら、付加価値サービスの提供によるビジネス拡大を目指した取り組みを進めています。

図:ビジネスDXの具体例

区切り線

図:ビジネスDXの具体例

図:ビジネスDXの具体例

 これらはいずれもIoT技術を適用した事例ですが、5Gに関しては、前述した5G SAの実証実験を放送事業者中心に進めています。2022年2月にはインターネットTV局と共同で、5G SA対応スマートフォンとネットワークスライシングを活用した映像の生中継を実施しました。このほかIoTと5Gを組み合わせ、地方自治体が推進する農業や漁業分野の地方創生を支援する取り組みも進めています。

―― 今後はどのような取り組みに注力していきますか。

上村 直近で考えていきたいのは、5Gを活用したビジネスDXの支援です。とはいえ、ビジネスDXというのは製品やサービスのように決まった形があるものではないため、お客さまにとって分かりづらい面があります。そこで、5G SAを使ったネットワークや業界別プラットフォームの構築など、一つ一つ確実に実績を重ねていくことが大切になります。その積み重ねによって、ビジネスDXをともに進めるパートナーとしてのKDDIの存在感を高めていきたいと考えています。

―― 本日はありがとうございました。

写真:上村 幸夫 氏

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