日東電王株式会社

「ニッチトップ戦略×Nitto流ESG戦略の実践」

#2 若手社員インタビュー

最終製品に育てる絵を描き、
Nitto固有の技術と知見をチューニング

(左から)伊藤悠里さん・サステナブル技術研究センター/嶋津亮さん・情報機能材料事業部門R&D統括本部

(左から)伊藤悠里さん・サステナブル技術研究センター/嶋津亮さん・情報機能材料事業部門R&D統括本部

背景の壁を彩るのは、空間装飾テープブランド「HARU stuck-on design;」。Nittoのグループ会社ニトムズの製品で、複数の国際的なデザイン賞を受賞している

日東電工(Nitto)は、ESG(環境・社会・企業統治)を経営の中心に置き、Global Niche Top™(グローバルニッチトップ)戦略を推進している。シリーズの#2は、Global Niche Top™製品と次世代候補製品の開発を担当する若手社員2人にインタビュー。製品の特長や強み、Nittoらしさなどを聞いた。

自社製品に自信と誇りを持つ社員に魅力
「三新活動」など新しい物をつくる気概

―― Nittoに入社した動機と、入社後の担当を教えてください。

入社のきっかけは社員の皆さんに魅力を感じたからです。就職活動中に先輩社員たちからいろいろ話を聞きましたが、自分のつくった製品に自信や誇りを持っていることが伝わってきたんです。大学院での専攻は分析で、特に携わりたい分野があったわけではなく、取り扱っている製品が多様なNittoなら、自分が興味を持てる分野もあるのではと入社を決めました。入社してからずっと偏光板の開発を担当しています。

ニッチトップ売上高比率

大学院では高分子の研究室に所属しており、高機能な中間材料メーカーで高分子の研究経験を生かせる場所としてNittoに興味を持ちました。Nittoは、新製品の開発と新用途開拓に取り組み新たな需要を創造する「三新活動」など、新しいものをつくろうという気概のある会社だなと感じたことが大きかったですね。自分も大学で学んだことを生かし、何か新しいことにチャレンジできるのではと入社しました。入社後は一貫して、新規分離膜の研究開発に携わっています。

ニッチトップ売上高比率

車載ディスプレー用の高耐久偏光板
新規プロセス導入で環境負荷も低減

――嶋津さんが担当する「車載用高耐久偏光板」とは、どのような製品ですか。

偏光板は、テレビやパソコン、スマホ、タブレット端末のディスプレーなど幅広い用途で活躍しています。見やすく美しいフラットパネルディスプレーを実現する高機能材料で、Nittoの主力製品の一つです。Nittoは車に搭載するディスプレーを成長市場と捉え車載用偏光板の開発に注力、私も2021年からメンバーに加わりました。

車載ディスプレー用の高耐久偏光板 新規プロセス導入で環境負荷も低減

――Global Niche Top™製品は、Nitto社内の独自基準で認定する制度です。「車載用高耐久偏光板」は認定されていますが、開発にあたり苦労した点などありましたか。

車に搭載する偏光板はスマホやタブレットに比べ、太陽光の影響など過酷な環境で使用されるので、さまざまな特性が求められます。中でも重要なのは高温への耐久性です。従来製品は、高温による劣化で着色してしまい画面が黒くなってしまいますが、ある材料を添加することでこの課題はクリアしました。しかし製造の際、従来プロセスでは大量の廃液処理が必要になるという新たな問題が生じてしまったのです。そこで、新しいプロセスを導入し、廃液の大幅削減に成功しました。ここが一番苦労した点です。環境負荷低減にも貢献し、高耐久で機能性の高い偏光板を上市することができました。

嶋津亮さん
嶋津亮さん 
2016年の入社以来、偏光板の開発に携わっている

工場の排ガスからCO2を分離する膜
従来法より負荷少なく小規模で可能

――伊藤さんの担当製品「CO2(二酸化炭素)分離膜」について教えてください。

Nittoは、工場などから排出されるCO2を分離・回収し化学原料に変換する「ネガティブエミッションファクトリー(NEF)」構想を掲げています。この仕組みの中での私のミッションは、CO2を分離する膜の性能を高め、分離プロセスを構築していくことです。膜の材料は、ある点が向上すると別の特性が悪化するトレードオフがいくつもあり、大学などの機関とも連携しながら材料設計やメカニズムの考察などを行っています。弊社の滋賀事業所に実証機を建て検証を始めたところです。

「ネガティブエミッションファクトリー(NEF)」構想

製造事業所で排出されるCO2を回収し、化学原料に変換する

「ネガティブエミッションファクトリー(NEF)」構想

――どのような点が、Global Niche Top™製品の次世代候補と目されているのでしょう。

分離膜を使えば、従来方法よりエネルギー負荷が少なく小規模で済みます。中小型ボイラーの排ガスからCO2を直接回収できる仕組みは珍しく、新たなアプローチで温暖化対策に貢献できると考えています。私はサステナブル技術研究センターの前身である環境技術センターのころから環境に関する仕事にずっと携わってきたので、昨年Nittoが「ESGを経営の中心に置く」と宣言したことを聞き、やっと認知されたと感慨深かったです。

伊藤悠里さん
伊藤悠里さん 
2016年入社。一貫して新規分離膜の研究開発に従事する

チャレンジを応援してくれる風土
育児中でもフルタイム可能な環境

――Nittoの企業文化、働く環境など、どのように感じていますか。

チャレンジを応援してくれる風土があると思います。これまでいろいろチャレンジしてきましたが、「やめておけ」と否定されたことはありません。2020年に始まった「Nitto Innovation Challenge」はアイデアを全社的にアピールできる場で、手を上げれば周りの人が後押ししてくれる環境がNittoにはあります。

新重点分野

「さん」づけ文化で、フランクな雰囲気の会社ですね。部署が違っても気軽に話しかけられるし、協力してもらえる。また、子どもがいてもフルタイムで働きやすい環境が整っています。私も4歳になる子どもがいますが、いろいろな制度を遠慮なくきちんと使わせてもらえるので、心に余裕を持って仕事に打ち込めます。

新重点分野

同じ部署の男性で育児休暇を取っている人がいて、制度が使いやすい環境なんだなと感じています。

「車載用の偏光板を究めたい」
「CO2分離膜を製品化の成功例に」

――今後、挑戦したいこと、将来の抱負などを聞かせてください。

車載用の偏光板を究めたい。最近は、デザイン性を重視しディスプレーを囲っていた部分が取り除かれるなど、太陽光を今まで以上に受けやすくなっている車種もあります。EV(電気自動車)では一層デザイン性が高くなることを想定し、今よりさらに耐久性の高い偏光板を開発したいですね。

今、携わっているCO2分離膜を製品化してお客さまに届けたい。これは茨木のサステナブル技術研究センターにいる皆の夢だと思います。環境関連製品は特に、おカネになるまで時間もかかり、基礎研究から製品までたどり着くことは難しい。原理原則を大事に、製品化の成功例の一つにしたいですね。そのためには、最終製品に育てる絵を描き技術を磨く、全体的な戦略づくりが必要だと考えています。

嶋津亮さん 伊藤悠里さん

プラスαの価値が「ニッチ」分野に
顧客の要望以上の開発・提案めざす

――Nittoらしさ、Nittoの強みについてアピールしてください。

一人の開発員がお客さまや材料サプライヤーさまとも向き合う。業務の幅も広がり、すべてを把握した上で動ける点は、Nittoらしさであり強みだと感じています。「ニッチ」は他の人が目を付けていない分野なので、探すのは大変。例えば分離膜なら、膜プラスαの用途や機能といった付加価値。研究者としては、「ニッチ」をうまくチューニングできる技術を開発していきたいですね。Nittoは、何かやりたい、チャレンジしたいという気持ちのある人にはぴったりな会社だと思います。

お客さまの要望に応えようという気持ちが強い。要望を上回る開発をし、提案していく姿勢がGlobal Niche Top™戦略につながっているのではないでしょうか。いい意味で泥臭いことをいっぱい積み重ねながら、お客さまから信頼いただいている。それがNittoの強みだと思います。海外のお客さまも多いので、グローバルで活躍したい人にもお勧めな会社です。

※「Global Niche Top」「Area Niche Top」は、日東電工の登録商標です。

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