Vol.1

データドリブンな意思決定を実現する
「データクラウド」とは?

Vol.2

「変わる世界、変わる規制」の中で
データ活用を拡げるためのポイントとは?

Vol.3

Snowflakeが目指す
「データをモビライズした世界」とは?

提供:Snowflake

あらゆる組織がデータを活用できる未来へ  データドリブンな意思決定を実現する「データクラウド」とは?

早稲田大学大学院 経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール 教授
入山 章栄

Snowflake株式会社
日本代表 カントリーマネージャー
東條 英俊

ビジネス環境が劇的に変化する中、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)によるイノベーションの創出に取り組んでいる。そうしたDXの推進に欠かせないのが「データ」だ。しかし日本企業では、データを経営に生かせていない現状(2020年 総務省『デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究』)が明らかになっており、データを活用して迅速な意思決定を実現するデータドリブン経営の実現が喫緊の課題となっている。企業はどのようにデータ活用を進めていけばよいのだろうか。経営学が専門の早稲田大学大学院教授の入山章栄氏と、企業のデータ活用を支援するSnowflake日本代表の東條英俊氏が意見を交わした。

DX推進に差が広がりつつある日本の現状

写真:入山 章栄 氏

早稲田大学大学院 経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール 教授
入山 章栄

―― 企業の成長や事業の発展につながるイノベーションを実現するため、多くの日本企業がDXへの取り組みを進めています。実際、日本企業におけるDXの取り組みはどのような状況にあるのでしょうか。

入山日本企業の多くはDXの取り組みに苦労しているのが実情です。その原因の1つは、経営者の知識が圧倒的に不足していることにあります。中には「DXなるものを進めればどうにかなる」と短絡的に考える経営者もいるほどです。当たり前のことですが、DXはあくまでも企業の成長や事業の発展を実現する「手段」です。会社としての戦略、パーパス(目的)がないのに、DXという“打ち出の小槌”を振ったとしても、何も出てきません。これをよく理解していない経営層が多いことに一番の課題があります。

東條コロナ禍によって企業を取り巻く経営環境が激変する中、企業にとって本当に大事なのは、変化に素早く追随しながら競合他社に先んじてサービスを立ち上げたり、既存のビジネスを置き換えて新しい市場を目指したりするための経営戦略を考えることです。しかし、私がお客様と接して感じたのは“目先のDX”に飛びつく企業が多いということです。経営者が「DXをやれ!」と指示するようでは駄目だとよく言われますが、実際にはそういう企業が少なくありません。

入山とはいえ、最近はデジタル領域の職務を経験し、デジタル技術に精通した経営者も少しずつ増える傾向にあります。そうした経営者が率いる企業とそうでない企業との間で、大きな差が出てきています。

データ活用を阻む組織とシステムのサイロ化

写真:東條 英俊 氏

Snowflake株式会社
日本代表 カントリーマネージャー
東條 英俊

―― DXを成功させる要素として「データ活用」が挙げられていますが、企業のデータ活用の取り組みはどのような状況にありますか。

東條最近はデータを分析して積極的に活用する企業も増えつつありますが、DXの取り組みと同様、データ活用も企業によって取り組み状況に大きな差があると感じています。データの分析には「記述的分析」「診断的分析」「予測的分析」「処方的分析」の4段階がありますが、企業の市場戦略が大量生産/大量販売というマスから個客に合わせて提案するOne to One(ワントゥーワン)へと変化する中、データの分析結果をビジネスに活用していくには予測的分析や処方的分析が必要になります。しかし、ここまでできているような一歩も二歩も進んだ企業はまだ少数です。

 データ活用が進まないのは、組織やシステムが縦割りに分断された“サイロ化”に原因がありそうです。サイロ化というとオンプレミスシステムにありがちな課題のようですが、実はクラウドサービスでも部署ごとにサイロ化が発生しています。

入山それは日本企業によく見られるケースですね。私もある大手製造業企業から調査の依頼を受けたことがあるのですが、その案件が終わって半年後に同じ会社の別部署からまったく同じ調査の依頼を受け驚かされたことがあります。それだけ組織やシステムがサイロ化しているわけです。

 この課題を解決するのは容易なことではありません。企業はさまざまな要素が合理的にからみ合っているため、DXを推進して部分的な仕組みを変えようとしても、他の仕組みが抵抗してうまく変えることができません。これを「経路依存性」と呼んでいるのですが、この経路依存性を解いて会社全体を変えていくDXを推進する必要があります。

 その課題解決策として私が提案しているのは、役員の兼任です。DXについては、人事部門のトップがDX推進部門のトップを兼任することを推奨しています。全社でDXの取り組みを進める際には、必ず人事の話が出てくるからです。

図:価値実現を阻むデータサイロ 図:価値実現を阻むデータサイロ

データとデータの組み合わせがイノベーションを起こす

―― データ活用の課題解決に取り組む企業に対して、Snowflakeはどのようなソリューションを提供していますか。

東條Snowflakeは2012年に創業した企業です。ビジネスは非常にシンプルで、クラウド時代のデータ活用に最適なデータベースサービスを開発し、それを「データクラウド」として提供しています。世の中には非常に多くのデータベースが存在し、一見すると同じように見えますが、Snowflakeは最初からクラウドネーティブでつくられた、中身がまったく違うデータベースです。例えるなら、内燃機関(エンジン)で動く自動車と初めからITを駆使してつくられた電気自動車のような違いがあります。

 これまでの日本企業のデータ活用は先に述べたとおり、特定の組織やシステムでサイロ化された閉じた環境で行われる傾向があります。Snowflakeのデータクラウドは、そうしたデータ活用の課題を解決し、社内はもちろん、関連会社や取引先、業界内の同業他社も含むあらゆるデータを結びつけて、データドリブンな意思決定を実現するために利用できるオープンなプラットフォームです。クラウド事業者も類似のサービスを提供していますが、Snowflakeのデータクラウドは、それらのクラウドサービスにあるデータも自由につないで利用できるところに大きな差別化ポイントがあります。

図:データクラウドのメリット 図:データクラウドのメリット

入山非常に素晴らしいコンセプトですね。企業がイノベーションを起こすには「知と知の組み合わせ」が必要です。Snowflakeのデータクラウドは、まさにデータとデータの新しい組み合わせによってオープンイノベーションを引き起こすために最適なソリューションだと思います。デジタルの世界はいくつもの階層のサービスが重なり合うミルフィーユ構造と言われますが、Snowflakeは新しいレイヤーの1つではないでしょうか。さまざまなサービスが横につながる、これからの時代にふさわしいものだと感じます。

データ活用基盤の中心となるプラットフォームへ

―― 日本市場におけるSnowflakeの導入事例や今後の取り組みについて紹介ください。

東條日本市場における導入事例はすでに数多く存在します。例えば市場調査・マーケティングリサーチ事業を展開するインテージ様は、顧客向けに提供するパネルデータ提供・分析システムにSnowflakeを採用しました。従来は内製していた仕組みをSnowflakeのデータクラウドに切り替えることにより、顧客ニーズに応じた多角的な分析を高速に行え、増え続けるデータ量に応じて自在にスケールできるデータ分析基盤を実現しています。

 また、Snowflakeでは「データの収益化」に寄与する仕組みとして「Snowflakeデータマーケットプレイス」を用意していますが、その利用事例の1つに気象情報企業のウェザーニューズ様の事例があります。同社はマーケットプレイスを通じ、顧客企業がマーケティング戦略や需要予測、商品開発に活用できる過去の高精度な気象データを販売しています。

 このほかNTTデータ様との業務提携により、同社が有するAI・データ活用領域を中心にしたサービスソリューションのプラットフォームとしてSnowflakeを広める活動にも取り組んでいます。こうした実績を積み重ね、今後は企業のデータドリブン経営の支援をさらに加速させたいと考えています。

入山日本企業は世界のデジタル競争の第1回戦で敗北を喫しました。しかしその主戦場はスマートフォンやパソコンであり、第2回戦ではIoTやモノづくりの領域における戦いになるとみています。この領域は日本企業が得意とするところなので、ここにデジタルをうまく組み合わせて全体最適化を図ることにより、日本企業が勝ち抜けるチャンスは大いにあると考えています。

 ただし、そのためには日本企業が単独で取り組むのではなく、日本中のプレーヤーと組んでいく必要があります。Snowflakeのデータクラウドは、そうしたデータ活用基盤の中心となるプラットフォームになっていくと期待しています。

図:Snowflakeプラットフォーム 図:Snowflakeプラットフォーム
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