提供:英国国際通商省

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アジア太平洋地域のパートナーと進歩と革新に取り組む英国

 英国の専門的な知識が中国の電気バスからマレーシアの洪水予測にいたるまで重要なインフラの変革に貢献している。


 電気自動車はすでに一般的な光景となりつつある。高まる気候変動の脅威に対して急ぎ対応するために生み出された多くの技術革新の一つだ。ガソリンやディーゼルなど化石燃料をもとにした、環境を汚染する有害な技術が段階的に廃止されるにつれ、環境に優しい解決策が求められるようになり、電気バッテリーで駆動する自動車が増えてきている。数多くのバッテリーが中国と日本の企業の多額の投資によって英国で製造されるようになってきている。

 中国企業のエンビジョン(Envision)は、英国日産自動車、英国サンダーランド市議会との10億ポンド(約1560億円、1ポンド=156円換算)規模のパートナーシップの一環として、容量9GWhの“ギガファクトリー”をサンダーランドに建築する許可を得た。エンビジョンは4億5000万ポンド(約702億円、同上)を投資する。建設は2022年に開始され、最初のバッテリーは24年に生産される予定だ。同社は現在、将来的に18億ポンド(約2808億円、同上)の投資を視野に入れている。これによって、30年までに35GWhの電力容量と約4500人分の付加価値の高いグリーン雇用が新たに創出される可能性がある。

 エンビジョンのサンダーランドにある工場では日産自動車に対して電気自動車「リーフ」のバッテリーを過去9年間にわたり供給してきた。拡張される新しいギガファクトリーでは年間10万台を超えるEV車に電力を供給できるバッテリーが生産される。エンビジョン・グループの創設者兼最高経営責任者ジャン・レイ(張雷)氏は「私たちの使命はグローバルな企業、政府や都市などから選ばれるネットゼロ テクノロジーの パートナーになることです。日産自動車とサンダーランド市議会と協力して、カーボンニュートラルとゼロエミッション・モビリティーの推進に取り組み、自動車産業の将来に向けた新しい青写真を描き、英国初のEV車製造のハブを構築できることをうれしく思います」と述べています。

 中国ではすでに40万台以上の電気バスが運行されている。電気バスの車両は2025年までには130万台以上に増えると言われている。これを受けて、英国企業は中国が高い目標を掲げる大量輸送電化計画をサポートする。エンジニアリング企業のセレス(Ceres)は、天然ガスを電気に変換するバス用の燃料電池技術を開発した。この技術で電気バスは車両のバッテリーを補充して航続距離を伸ばすことができる。電気バスは充電が必要になるまで、より長い距離を運行できるようになる。

 セレスは中国のウェイチャイ パワー(Weichai Power)と協力して実地試験を行っており、次のステップについても議論しているという。燃料電池レンジエクステンダー(発電用エンジンを搭載し航続距離を延ばす電気自動車)の利点は、必要なインフラが整備されれば、水素で稼働できるようになるため、排出量を削減できることにある。

 英国企業は環境に配慮した未来を目指すだけでなく、アジア太平洋の国々が多雨な気候になる未来への対策を講じることができるように専門的な知識による支援を行う。たとえば、水に関連した調査およびコンサルタント事業に携わるHRウォーリングフォード(HR Wallingford)は、マレーシア政府のかんがい排水局と提携し、壊滅的な洪水を的確に予測し、コミュニティーの避難を支援する早期警告を発信している

 マレーシアでは長期にわたり広い地域で大洪水が繰り返し発生し、コミュニティー、ビジネス、インフラが広範囲に破壊されてきた。気候変動と都市化の影響によって、洪水は世界中でさらに大規模かつ頻繁に起きると予想されており、早期警戒システムの重要性がますます高まっている。HRウォーリングフォードのテクニカルディレクター、エマ・ブラウン(Emma Brown)氏によると、同社はマレーシア半島の3つの主要河川流域での試験に成功した“全国洪水予報・警報システム開発チーム”の一員となっている。この計画は現在、マレーシア北西にある11の河川流域と、東部の11流域に拡張されており、今後はさらにマレーシア全域で展開される予定だ。

当社は世界中の政府と協力して、洪水に対する早期警戒システムの設計と構築を行っています。中でもマレーシア政府の事例はかなり進んでいます。どの政府も水防ラインの構築などの構造的対策を講じることで、物理的に水を入れないようにしていますが、今や、いつどこで氾濫が起きるかを予測するという非構造的な対策を重視する傾向が強くなっています」とブラウン氏は言う。

 このシステムでは、コンピューターモデルを駆使し、降雨量や河川の水位に関するリアルタイムデータ、天気予報、建物および橋などの物理的特徴に関する情報を組み合わせて、住民やコミュニティーに影響を及ぼす可能性に注目しています。「肝心なことは、救急隊が活動に集中できるように支援することです。このシステムでは1時間ごと、河川流域によっては5~7日後のマップが作成され、どこで洪水が発生する可能性があるのかが示されます。リアルタイムで情報を取得しているので、今、どこで洪水が発生しているのかを正確に示すことができます」(ブラウン氏)

 ロンドンに本拠を置くエンジニアリングと建築の巨大企業、アラップ(Arup)は、さらに先を見据えて、アジア太平洋地域の都市部での水管理計画を支援している。2015年に中国で開始されたパイロットプロジェクトのコンセプトである“スポンジシティー”をもとに中国の包頭市、武漢市、上海市における排水、インフラ、保水性の改善に取り組んでいる。

 アラップはまた、インドのバンガロールの史跡を活性化し、21世紀という時代に適合させる基盤を築いた。ウルスール湖は16世紀にバンガロールのゴウダ王によって建設された現存する唯一の貯水池で、市内に残る最大のオープンスペースのひとつ。ただ、残念なことに何十年にもわたり無計画な開発が行われ、湖は汚染されて地域は荒廃した。

 湖とその周辺を再生するための取り組みの一環として、アラップはコミュニティーによる地域保護を後押しすると同時に、荒廃からの回復を促すマスタープランを地元の開発者に向けて策定した。アラップの都市設計ディレクター、ソウミヤ・パルタサラシー(Sowmya Parthasarathy)氏は語る。

「私たちが一緒に開発したプロジェクトには、マスタープランに加えて、大まかなタイムラインがありました。アイデアだけのものもあれば、もう少し具体的なものもあります。私たちは『時間をかけて、少しずつ実行する必要があります』と主張しました。地元の人たちに当事者意識を持ってもらうためには、コミュニティーと一緒にプロジェクトを開発しなければいけません」

 すでに改善策がいくつか実施されているものの、このプロジェクトは完了するまでにまだ何年もかかる。開発者たちは、それを全面的に受け入れている。「こうして初めて、自然環境と湖周辺で暮らす何千人の人々の両方が継続的な恩恵を受けることができるのです」とパルタサラシー氏は言う。

 世界のリーダー企業や政府は、気候変動がもたらす課題に正面から取り組む一方で、重要なインフラでは協力するという機会を積極的に受け入れている。技術革新と創造性によってのみ、新たにレジリエントな(回復力のある)計画とエネルギーの解決策が生まれる。英国国際通商省中国貿易担当長官のジョン・エドワーズ氏は、アジア太平洋地域における低炭素への移行のスピードと規模を歓迎すると述べる。

「3年前、電気自動車は中国市場のわずか5パーセントにすぎませんでした。2021年にはその3倍になった。この傾向はアジア太平洋地域全体で見られます。英国企業はアジアのグリーン・サプライチェーンに欠かせない存在です。アジアからの投資が英国のグリーン革命を推進できると確信しています。我が国とアジアとの協力は、カーボンニュートラルな未来への投資を望む企業にとって、欧州では英国に勝るパートナーはいないということを示しています」

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