提供:共同印刷

TOMOWEL 共同印刷株式会社

「NexTOMOWEL」
 VOL.2「新たな情報価値創出で人をつなぐ」

変化する情報コミュニケーションの形
情報加工で新たな価値を創出し、
事業を多様化

共同印刷 岩田淳一常務執行役員・情報コミュニケーション事業本部長

共同印刷 岩田淳一常務執行役員・情報コミュニケーション事業本部長

共同印刷の真の姿を紹介するシリーズ企画「NexTOMOWEL」。VOL.2のテーマは、「新たな情報価値創出で人をつなぐ」。同社の岩田淳一常務執行役員・情報コミュニケーション事業本部長へのインタビューを通じ、共同印刷の情報コミュニケーション事業が生み出す新たな価値と未来に向けた取り組みを紹介する。

*記事内容は2023年9月現在

情報のアウトプットが多様化
「情報」を材料に事業を多面的に展開

――出版印刷、商業印刷、プロモーションをはじめとする情報コミュニケーション事業の現状を教えてください。

これまでメインの事業だった、紙媒体の印刷が縮小し、事業内容を変革していくことが喫緊の課題になっています。デジタルシフトをはじめ情報のアウトプットが多様化する中、どう対応していくかが最も重要です。私たちは紙媒体の印刷物の製造責任を果たす一方で、これまで培ってきた情報を加工する能力を生かし、切り口を変え、間口を広げて、「情報」を材料に事業の多面的な展開を進めています。

これまで当社は、それぞれの事業セグメントを超えた形での営業活動には積極的に取り組んできませんでした。お互いのテリトリーを守ろうという意識が多少強かったのかもしれません。しかし、この2~3年は、それぞれの事業部門が持つ顧客資産を共有しながら、さまざまな戦略を練るような方向に変わってきました。例えば、パッケージ製造を受注していた顧客に、こちらから販促プランニングを提案するなど、当社の持つさまざまなリソースを活用しながら、お客さまとの関係性を広げる取り組みを行っています。

さまざまなリソースを活用しながら、顧客との関係性を広げる
さまざまなリソースを活用しながら、顧客との関係性を広げる

販促担当者を支援する「Hint Clip」
プラスアルファの価値となる有益情報を

――具体的にはどのような取り組みを行っていますか。

以前は企業と顧客とのコミュニケーションツールはパンフレットやカタログ、情報誌など紙媒体が中心でした。今は媒体が多様化し、ウェブサイトやSNSなどのデジタルコミュニケーションツールがメインとなる一方、紙媒体も並行して利用されています。紙のデザイン力とデジタルのデザイン力は異なるものですが、両方を熟知している我々だからこそ提供できるアウトプットがある。どちらの媒体でも勝負できるだけのクリエーティブの力を身に付ける必要があると考えています。

販売促進関連では、「Hint Clip(ヒントクリップ)」というオウンドメディアの運用を通じて、販促担当者を支援するコンテンツを定期的に発信しています。掲載記事の定期的な更新や販促施策に役立つウェビナーの開催、メールマガジンの配信などです。当社は販促活動を、プランニングからロジスティクスまでフルサービスで提供しているため、さまざまな知見を持っています。それを生かし、例えば企業の販促活動の課題の一つである人手不足問題の解決に役立つ事例など、ちょっと有益な情報の提供を通じて企業担当者と当社とのコミュニケーションを深めています。そういった施策を各セグメントの得意先の販促担当者に対して行っています。

岩田淳一常務執行役員・情報コミュニケーション事業本部長

岩田淳一常務執行役員・情報コミュニケーション事業本部長
1964年生まれ。86年法政大学卒業、共同印刷入社。第一事業部(現情報メディア事業部)に配属、
2017年出版情報(現情報メディア)事業部長、20年情報コミュニケーション事業本部長。21年から現職。

マンガのコンテンツ量は増加
出版業界に新たな価値提供し活路見いだす

――マンガを中心とした出版印刷事業では、市場の変化にどのように対応していますか。

出版不況と言われて久しいですが、マンガのコンテンツ量は逆に増えています。共同印刷は「週刊少年ジャンプ」を創刊時から印刷していることもあり、マンガについての知見が広い。例えば、当社の提供する「ComicPacker®(コミックパッカー)」は、文字組みや吹き出しの配置などマンガの制作を効率的に行うことができるシステムで、同誌をはじめ広くご利用いただいています。

電子書籍を取り扱うグループ会社デジタルカタパルトは、オリジナルコミックもつくり始めている
電子書籍を取り扱うグループ会社デジタルカタパルトは、オリジナルコミックもつくり始めている

また、電子書籍オンライン配信サービスの運営などを手がけるグループ会社デジタルカタパルトは、コミックを海外配信する際のライセンス管理や版権の譲渡、売買契約などの事業も展開しています。数年前からは編集部を立ち上げ、デジタル媒体向けのオリジナルコミックもつくり始めています。こういった特長を生かして、マンガをマンガとして読むだけではなく、キャラクターグッズの企画制作など、さまざまな分野での活用を提案しています。

自らコンテンツを発信する立場に
マンガも活用した「まなびコンテンツ」

――印刷会社が発信する「コンテンツ」には、どのような事例がありますか。

現在実行中の「中期経営計画」では、新規事業注力領域の一つとして「教育分野」を挙げています。情報コミュニケーション事業本部では「まなび創造プロジェクト」を立ち上げて、取り組みを進めているところです。「まなび」は、人の一生の中でさまざまな機会があります。最近、リカレント教育やリスキリングといった学び直しが注目されているように、社会に出た後も世代を問わず学ぶ機会はある。出版事業で培ってきたノウハウを生かし、教育関連コンテンツを自ら発信し始めたところです。

その一例が、マンガを活用した「まなびコンテンツ」です。当社の「マンガ」についての知見を生かした例として、全国各地にある携帯電話会社の販売店のスタッフたちに向けて、なかなか伝わりにくい会社の方針や理念といった内容をコミカライズし、スマホで配信するサービスを提案したところ採用されました。

携帯ショップのスタッフ向け「マンガコンテンツ」
携帯ショップのスタッフ向け「マンガコンテンツ」

IRからHR領域へ
人事部や総務部にも接点が広がる

「まなびコンテンツ」に注目するようになったきっかけは、各種IR(投資家向け広報)ツールの受注が拡大してきたことです。これまでも企業の会社案内やCSR(企業の社会的責任)リポートの印刷を請け負ってきましたが、2021年のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)改訂にともない統合報告書の引き合いが非常に多くなりました。

現在、開示項目にHR(人的資本)を加える流れがあり、どのように記述すべきか悩んでいる企業が多いのが現状です。そこで当社でも、企業のインナーコミュニケーションの充実や社員のエンゲージメント向上についてのお手伝いができないかと考えたのが「まなびコンテンツ」に取り組んだ始まりです。

企業のダイバーシティー(多様性)推進を支援するプログラムとして開発した「TriAnchor(トライアンカー)」では、出産・育児休暇後の女性のために、家事や育児のヒント、キャリアデザインのプランニングといった情報を発信しています。7月には、エンゲージメント強化やコミュニティー形成などの情報を提供するウェブサイト「YorisoWeL(ヨリソウェル)」をオープンしました。最近、私たちが営業する先は、企業の人事部や総務部にまで広がってきています。

「TriAnchor」は出産・育児休暇後の女性を支援
「TriAnchor」は出産・育児休暇後の女性を支援

エンゲージメント強化やコミュニティー形成などの情報を提供するウェブサイト「YorisoWeL」
エンゲージメント強化やコミュニティー形成などの情報を提供するウェブサイト「YorisoWeL」

左)「TriAnchor」は出産・育児休暇後の女性を支援
右)エンゲージメント強化やコミュニティー形成などの情報を提供するウェブサイト「YorisoWeL」

量ではなくサービスの質を高める
パートナーシップを強める

――今後の意気込みを聞かせてください。

2017年に「未来起点の変革」を掲げてから、お客さまとのビジネスを通じて自分たちに何ができるかを考える意識が着実に芽生えています。昨年、初めて社内で「ビジネスコンテスト」を実施したのですが、いろいろなアイデアが出てきました。お客さまのパートナーとしての視点で考え、提案できるようになってきたと感じます。紙媒体印刷物の量で守られていた時代が終わり、今はサービスの質を考える時代になりました。サービスの質を上げるためには、まずはお客さまのことを知り、情報をいち早く取り入れる。その上で、どれだけお客さまと共に考えていけるかにかかっています。

コーポレートブランド「TOMOWEL」は、まさにパートナーシップを表現する言葉。顧客や投資家はもちろん、近隣に住む地域住民、社員を含め全てのステークホルダーとのパートナーシップを強めていきます。情報コミュニケーションの形は変化しますが、しっかり対応するだけでなく、逆にリードしていくような立場になりたいですね。「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」。これからの共同印刷にご期待ください。