提供:共同印刷

TOMOWEL 共同印刷株式会社

「NexTOMOWEL」
 VOL.3「循環型経済への取り組み」

環境への配慮と機能性向上を両立
次世代型パッケージで
SDGsの達成にも貢献

共同印刷 冨岡忠司 常務執行役員 生活・産業資材事業本部長

共同印刷 冨岡忠司 常務執行役員 生活・産業資材事業本部長

共同印刷の真の姿を紹介するシリーズ企画「NexTOMOWEL」。VOL.3は、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組み」を取り上げる。同社の冨岡忠司 常務執行役員 生活・産業資材事業本部長へのインタビューを通じ、共同印刷が取り組む次世代型パッケージの開発と事業展開などを紹介する。

紙器からプラ素材扱う軟包装事業へ
菓子、日用品、化粧品など間口広げる

――共同印刷の生活・産業資材事業はどのように始まり、展開していったのですか。

印刷事業の延長として包装紙や化粧箱の取り扱いから始まり、食品や日用品の紙箱に印刷する紙器事業へとつながっていきました。同時にラーメンの袋などプラスチック素材に印刷する軟包装印刷や、お菓子の缶などの金属印刷、建装材の印刷にも踏み出していったのです。チューブにおいては、絵の具や軟膏などの金属チューブ事業から始め、歯磨き粉や化粧品のラミネートチューブ事業へと発展していきました。

脱炭素社会への流れは不可逆的
対応する製品開発でチャンスつかむ

――国の2050年カーボンニュートラル宣言など、社会の変化はパッケージ事業にどのような影響を与えていますか。

これまでも、環境へ配慮した製品開発のブームはありましたが、一過性のものでした。今回は、国際的な枠組みが生まれ、日本も世界に向けて約束をしたわけです。こうした動きを受け、法律や各種ガイドラインの整備も進んでおり、パッケージの環境対応は不可逆的な流れだと捉えています。我々の事業も、もはや環境という切り口のない提案は成り立たないほど。脱炭素社会の構築に向け、共同印刷という会社自体の事業内容を変革していかなければなりません。

脱炭素社会への流れは不可逆的 対応する製品開発でチャンスつかむ

特にプラスチックを多く使用するパッケージ事業にとっては、事業の根幹を揺るがしかねない大きな状況の変化です。ただし、プラスチック素材が全て無くなるわけではありませんし、パッケージは生活に密着した製品。ある意味チャンスと捉え、脱炭素社会に寄り添った製品開発にスピードを上げて取り組んでいます。

プラスチックを減量した包材
紙など植物由来の材料への転換

――具体的には、どのようなソリューションを提供できますか。

2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」の基本原則「3R(リデュース・リユース・リサイクル)+Renewable(リニューアブル、再生可能)」の中では、リデュースとリサイクルの分野で取り組んでいます。プラスチックを減量した包材の提案や、リサイクルを前提とした素材からの設計、紙をはじめ植物由来の材料への転換などです。

例えば、「パーシャルオープン」という製品。フィルムや蓋の一部分が開けられ、その部分を飲み口として使うことで、ストローやキャップといった使い捨て素材を排除することができます。「ハンディキューブ®」は、中容量に最適なフレキシブルコンテナー。ポリタンクのような硬質容器と比較してプラスチックの使用量を削減でき、持ち運びに便利で輸送効率がよく、使用後は折りたためて廃棄しやすい。紙容器でもラップがぴったり密着し、そのままレンジで温められる「レンジアップカートン®」という製品もあります。

ハンディキューブ®
ハンディキューブ®

レンジアップカートン®
レンジアップカートン®

食の安全、フードロス削減にも貢献
医薬品向け製品で培った技術を横展開

――SDGs(持続可能な開発目標)の視点から、食の安全やフードロス削減といった課題に、どのように取り組んでいますか。

いわゆる機能性の高いパッケージを提供しています。例えば、脱酸素剤の同梱不要な酸素吸収フィルムや、風味の低下を防ぐにおい吸収フィルムなどがあります。高機能なフィルムによって、誤飲防止、賞味期限の延長などを可能にし、食品をおいしいままでより長く保存できるようにすることで食の安全やフードロス削減に貢献できます。

におい吸収フィルムは、医薬品向け製品で培った技術を食品向けに横展開して開発したものです。食品ではおかゆや介護食、ベビーフードといったデリケートな食品のレトルト製品のパッケージにこのフィルムを使用することで、保存中に発生するにおいを吸収してくれ、長期保存によるフードロスも防げます。

フィルムの高い吸湿機能や優れた酸素吸収効果で、医薬品の開発・製造に貢献
フィルムの高い吸湿機能や優れた酸素吸収効果で、医薬品の開発・製造に貢献

リサイクル包材は設計時点で考慮
衛生面やバリア性の担保も必要

――環境への配慮と機能性向上の両立は、技術的に困難な点が多そうです。

食品向けの包装材として考えると、一度使用したプラスチックをリサイクルする場合や、材料を単一素材から構成する場合は、衛生面やバリア性の担保といった部分で、現状では課題もあります。それをどうやって可能にしていくか、業界全体で取り組んでいるところです。また、機能性を付加するために特殊な材料を加えていることも多いのですが、リサイクルの際に分離しやすい、あるいはリサイクル効率が悪くならない工夫など、包材設計の時点で考慮することも必要です。

例えば、ペットボトルなどは既に循環システムができあがり、実現されています。PET(ポリエチレンテレフタレート)の単一素材から製造されており、循環に向いているからです。こういった仕組みをほかの材料でも実現できるかどうかが、鍵になると思います。

冨岡忠司常務執行役員 生活・産業資材事業本部長

冨岡忠司常務執行役員 生活・産業資材事業本部長
1960年生まれ。84年明治学院大学卒業。共同印刷に入社し包装事業部に配属。2016年L&I事業部長、19年包装事業部長、22年から現職。

印刷会社の知見と技術生かし
使いやすいパッケージを追求

――印刷会社が提供するパッケージングの強み、こだわりは?

パッケージには、消費者に対して商品の情報を提供する役割があります。印刷会社は情報を扱うことを得意としているので、パッケージ上でも必要な情報を分かりやすく伝えることに長けていると思います。また、紙を扱う技術・設備を持っていることも強みでしょう。現在は、石油由来の材料の代わりに紙を多く配合した包装材料を開発し、実用に耐えるものが登場してきています。もちろん、印刷技術による高い絵柄の再現性や表面加工技術などを持っていることも強みです。一つの可能性ではありますが、今後、リサイクルされた包材が主流になったとき、これまで培ってきた印刷技術で、リサイクルされた包材の品質を補うようなこともできるのではないかと考えています。

パッケージには、中身を守ることと、必要な情報が得られるトレーサビリティー(生産履歴の追跡)などの機能があります。加えて今は環境への配慮が求められるようになりました。これからは環境に配慮することはもちろん、高齢化などの社会課題に寄り添った機能を開発し、使いやすさを追求したパッケージを提供していきたいですね。

循環サイクル図
循環サイクル図

川上と川下を一気通貫する事業を
ASEANでのビジネス拡大へ

――サーキュラーエコノミー実現に向け、どのような取り組みを進めますか。

サーキュラーエコノミーは1社だけでは実現しません。回収の仕組みの構築や、洗浄・粉砕を行って新たな材料へ再生する技術の確立、品質基準の策定など課題が多いのが現状です。大学の研究室や関係する企業、省庁などで構成されるコンソーシアムに参画するなどし、その中でパッケージメーカーとして共同印刷ができることを探っています。最終的には、資源循環と脱炭素に沿ったかたちで当社の事業を再構築していくことも必要だと考えています。

――今後の意気込みを聞かせてください。

今後は、海外展開にも注力していきます。上海の営業拠点、ベトナムとインドネシアの製造拠点をハブにASEAN(東南アジア諸国連合)でのビジネスを拡大し、国内をしのぐ利益を上げるまでに成長させたいですね。

共同印刷のパッケージ事業は、「この技術なら我々がトップだ」という強みを確立し、拡大することをめざしています。同時に、原材料メーカーなどの川上とユーザー企業である川下を一気通貫する事業創造への道筋を模索しているところです。実現に向けては、M&A(合併・買収)の検討もあり得ますね。環境への配慮と機能性向上を両立させSDGsの達成にも貢献する共同印刷の次世代型パッケージに、これからもご期待ください。