提供:東京しごと財団

東京都成長産業人材支援事業「トライアル就労」で満足度の高い採用&就職を実現

東京しごと財団

東京都は「成長産業人材雇用支援事業」を今年度から実施している。これまでに実施している「雇用創出・安定化支援事業」と同様に労働者派遣のスキームを活用した「トライアル就労」にて採用側と求職者側のマッチング支援をしている。この事業を活用し、正社員を採用したシステム・エボリューション株式会社に取材した。

※記事内容は2023年10月現在

取材回答者
写真左から


中川さん 
システム・エボリューション株式会社 
社長室 エグゼクティブアシスタント、総務部 課長

玉川さん 
同社 技術本部

二宮さん 
同社 総務部

育児中のウェブデザイナーを正社員採用
柔軟な対応で有能な人材を獲得

――システム・エボリューションについて、簡単に会社紹介をお願いします。

中川当社は2011年創業で、システムインテグレーション(SI)事業を主軸に、企業と内定者とをつなげるコミュニケーションアプリや学習サービスなどの自社製品・サービスの提供、IT関連教育など多様な事業を展開しています。東京の本社とサテライトオフィスのほか、大阪と名古屋に事業所を、札幌に営業所を構えており、今年4月1日時点の従業員は391人です。

――玉川さんは今回、東京都の「成長産業人材雇用支援事業」を通じて就職されたと聞きました。それ以前の経歴を教えてください。

フォト:中川さん

中川さん

玉川システム開発系の会社に正社員として勤めながらウェブデザインの学校に通い、その後はウェブデザイナーとして派遣で働いていました。現在は4歳と1歳の2児の母として育児中のため、正社員化は難しいと考えていました。しかし、トライアル就労後に正社員採用されるこの事業を知り、「無理を承知で」エントリーしてみたのです。ただ、求人詳細に記載された勤務時間が9時から18時である点をうっかり見落としていました。保育園のお迎えの時間もあり、「17時半までの勤務ではだめですよね」と事務局スタッフを通じて担当者に聞いたところ、就業時間について確認していただき、「大丈夫ですので、ぜひ企業見学に来てください」との返事をいただきました。

中川求人詳細への記載内容が型にはまっていたと反省しました。当社には時短勤務の社員もおり、働き方については求職者と話し合い、柔軟な対応をすることで有能な人材を積極的に獲得すべきだと思っています。

――企業見学の印象はどうでしたか?

玉川これまで経験してきた職場の中で一番よい印象でした。社員の皆さんは生き生きと仕事をしているし、優しく対応してくれて、この会社なら、あるがままの自分で楽しく仕事ができるのではないかと思いました。

中川弊社ではホームページや自社製品のパンフレットを外部のデザイナーに委託しておりましたが、リニューアルが遅れており、この機会にウェブデザインの内製化を進めたいと考えウェブデザイナーを募集しました。デザイン業務を経験している玉川さんを採用し、現在、技術本部に所属し活躍してもらっています。

――トライアル就労中はどのような業務を任されていたのでしょう?

玉川6月上旬からトライアル就労が始まり、最初の1カ月は出勤して、それまでテキストを貼り付けてあっただけのDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略のページ作成などを行いました。子どもの発熱などで急な休みをいただくことが続き、会社には迷惑をかけたのですが、懐の深い対応をしていただけて感謝しています。2カ月目は週3日出勤、週2日在宅勤務でのトライアル就労を経て、8月1日に正社員として採用していただきました。現在は秋に実施する展示会に向けた準備を手伝っています。

職歴よりもポテンシャルを評価
企業と求職者の対話がミスマッチを防ぐ

フォト:二宮さん

二宮さん

――二宮さんの前職について教えてください。

二宮私はずっと一般職の派遣で働いてきました。派遣は同じ部署で3年間しか働けず、その会社独自のシステムを使いこなせるようになっても3年後にはスキルや評価がリセットされてしまうことに不毛さを感じて正社員になることを考え始めたとき、たまたまエントリーしたのが「雇用創出・安定化支援事業」でした。昨年10月末から派遣社員としてトライアル就労を経て今年の1月1日付で正社員になりました。履歴書には過去の勤務先名がぎっしり並んでおり、普通なら正社員採用は難しかったかもしれませんが、この事業のおかげで、ご縁がつながったのだと思います。

中川当社にとっては、二宮さんが「雇用創出・安定化支援事業」での第1号採用で、玉川さんが「成長産業人材雇用支援事業」での第1号採用です。二宮さんには現在、総務の仕事と人事の新卒採用を担当してもらっているのですが、持ち前の明るいキャラクターとコミュニケーション能力の高さは、周囲の皆の認めるところです。企業見学での顔合わせやトライアル就労中も好印象でした。入社してからも即戦力となり活躍いただいています。二宮さんの成功事例があったので、「成長産業人材雇用支援事業」でも積極的に採用することができました。

二宮総務の仕事は経験があったので、力になれる自信はあったのですが、採用業務は未経験で、戦力になれるか不安でした。でも上司や同僚に恵まれ、楽しく業務に取り組めた結果、24年度卒の新卒採用は無事目標達成できたので、安堵しています。中途採用にはまだ関わっていませんが、採用でミスマッチを起こさないためには、採用側と求職側が両思いになれるかどうかが重要だと思います。その意味では自分の経験も踏まえ、トライアル就労という仕組みはとても有効だったと思います。

中川当社は、スキルに関しては社内の研修制度が充実していますので、むしろスキル以外の働き方やコミュニケーション不足などでのミスマッチが、当社での離職や採用阻害の一因になるのだと考えています。新卒採用の面接は役員が行っていましたが、むしろそれが採用を難しくしていると考え、現在は入社3年目ぐらいの若手が採用面接を担当し、フラットな意見交換ができる環境に変えました。本事業の企業見学でも、社員と求職者がフラットに顔合わせすることで、トライアル就労中も正社員採用後も、こんなはずではなかったというミスマッチを起こさないように心がけています。

トライアル就労は
会社のエボリューションにもつながる

――驚くほどの採用実績ですね。改めて、この事業についてどのように考えますか。また、ほかの会社にこの事業を教えるとしたら、どのように説明しますか。

二宮会社にとっては初期費用ゼロで、さらに正社員として採用すると職場定着に向けた助成金にも申請が可能です。当社のように入社後に社員を育ててくれる会社であれば、求職者は肩の力を抜いてトライアル就労できるので、自分らしさを見ていただいた上での両思いなら、離職率も低くなるのではと思います。

フォト:玉川さん

玉川さん

玉川スキルマッチも重要だと思いますが、離職の大きな原因は社内の人間関係にある場合も多いのではないでしょうか。その意味では、等身大の自分を評価してもらえるトライアル就労の効果はとても大きいと思います。デザインは終わりのない世界ですが、ほかのスキルも含め、自分の幅を広げてくれる会社はきっと見つかるはずです。

中川既に取引先企業に「成長産業人材雇用支援事業」を紹介しています。当社自身も、この事業が続く限り利用し続けていきたいと考えています。今回はウェブデザイナーというフロントエンドでの採用でしたが、システムエンジニアやシステムインテグレーターの採用でも、この事業を使って相思相愛の人材と巡り合えることを期待しています。当社は今後も業容拡大を目指しますが、それは規模の追求ではなく、社員の幸福度の拡大につながるものであることが前提だと考えています。そうした思いは、トライアル就労を通じて求職者にも伝わると思いますし、この事業を通じて出会うタレントとのコミュニケーションは、当社の進化、エボリューションにもつながると確信しています。

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