社長は会社の未来に責任がある
既成概念を壊し、リソース集結
麿10月1日に持ち株会社体制に移行しました。123年間、印刷業で培ってきたテクノロジーを基に、時代変化に合わせ、DXとSXによる新たな事業ドメインを設定し、次なる高みを目指して踏み出しました。
伊藤社会環境がこれだけ非連続に変わり、グローバルな競争が展開されていく中で、経営トップが直感力と洞察力を駆使して会社の向かう方向性を示すことはとても重要です。社長は会社の未来に責任がある。麿さんがDXとSXを掛け算で結んで、新しいビジネスモデルをつくり上げていこうと判断したことは、大変素晴らしい。そう考えた理由は何ですか。
麿印刷物であるペーパーメディアからデジタルシフトして、データドリブンで付加価値をつけていく。DXで稼いでいこうと決断したのです。TOPPANには情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスという3つの大きな事業の柱があります。それぞれがDXに取り組む一方で、DXビジネスは情報コミュニケーションのテリトリーだよねといった既成概念で動いていたのです。私はそれを壊したいと思いました。例えば、エレクトロニクスが持つセンシング技術、薬などを包装するパッケージ技術、様々な健康データを管理するシステムなど、テリトリーを超えて組み合わせれば、環境に配慮し、利便性が高く、無駄のない処方の仕組みが提供できます。つまりホールディングス体制とすることで、グループ内にあるリソースを集めて組み合わせ、既成概念を壊してDXに関わるビジネスをもっと進化させたいと考えたのです。
伊藤稼ぐ力を格段に高めるため、DXは必要不可欠なものとして、経営戦略に組み込んでいくという社内外へのメッセージですね。これまでも御社はDXによる様々なサービスを顧客に提供し、顧客のビジネス変革や付加価値創出に寄与してきました。ただ、顧客からの要請に応える、受注型のビジネスであったように思います。それを自ら社会課題の解決へと積極的に取り組んでいく、提案型のビジネスへと今後は変えていくことが大切です。縦割りであった事業体制に、横串を通すことで、新しいビジネスあるいは新しいビジネスモデルを提案できるようになるでしょう。ホールディングスを中心とした組織構造に変えていくことが、企業文化を変えることにつながっていくと思います。
麿受注型ビジネスモデルはリスクを取らない分、安定しています。しかし、DXは新たな価値の創出が目的です。今後はニーズを先取りし、DXを活用してもっとサービスの質を上げて付加価値を高め、我々の方からアプローチする「創注型」のビジネスモデルに切り替えていきます。それにはデジタルシフトにとどまらず、デジタルデータを解析し、そこに付加価値を付けてお客様にお返しして、お客様の付加価値を高める。またこうした取り組みを「型化」して横展開していきたいと考えています。