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提供:TOPPANデジタル

事業に横串を通し、新たなビジネスモデル構築

一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤 邦雄氏×TOPPANホールディングス 代表取締役社長 CEO 麿 秀晴氏

DX(デジタルトランスフォーメーション)とSX(サステナブルトランスフォーメーション)により、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーを目指し、成長事業への投資や事業ポートフォリオ変革に向けた取り組みを推し進めるTOPPAN。10月1日に持ち株会社体制へと移行し、商号を「TOPPANホールディングス」とした。「顧客価値を創出するDXパートナーへ」の第3回は、一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏を迎え、同社の麿秀晴社長がホールディングス化の狙いをはじめ、DXをドライバーに、事業に横串を通して新たなビジネスモデル創出を図る戦略について語り合った。

社長は会社の未来に責任がある
既成概念を壊し、リソース集結

麿10月1日に持ち株会社体制に移行しました。123年間、印刷業で培ってきたテクノロジーを基に、時代変化に合わせ、DXとSXによる新たな事業ドメインを設定し、次なる高みを目指して踏み出しました。

伊藤社会環境がこれだけ非連続に変わり、グローバルな競争が展開されていく中で、経営トップが直感力と洞察力を駆使して会社の向かう方向性を示すことはとても重要です。社長は会社の未来に責任がある。麿さんがDXとSXを掛け算で結んで、新しいビジネスモデルをつくり上げていこうと判断したことは、大変素晴らしい。そう考えた理由は何ですか。

麿印刷物であるペーパーメディアからデジタルシフトして、データドリブンで付加価値をつけていく。DXで稼いでいこうと決断したのです。TOPPANには情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスという3つの大きな事業の柱があります。それぞれがDXに取り組む一方で、DXビジネスは情報コミュニケーションのテリトリーだよねといった既成概念で動いていたのです。私はそれを壊したいと思いました。例えば、エレクトロニクスが持つセンシング技術、薬などを包装するパッケージ技術、様々な健康データを管理するシステムなど、テリトリーを超えて組み合わせれば、環境に配慮し、利便性が高く、無駄のない処方の仕組みが提供できます。つまりホールディングス体制とすることで、グループ内にあるリソースを集めて組み合わせ、既成概念を壊してDXに関わるビジネスをもっと進化させたいと考えたのです。

フォト:伊藤 邦雄氏

伊藤 邦雄

稼ぐ力を格段に高めるにはDXは必要不可欠

伊藤稼ぐ力を格段に高めるため、DXは必要不可欠なものとして、経営戦略に組み込んでいくという社内外へのメッセージですね。これまでも御社はDXによる様々なサービスを顧客に提供し、顧客のビジネス変革や付加価値創出に寄与してきました。ただ、顧客からの要請に応える、受注型のビジネスであったように思います。それを自ら社会課題の解決へと積極的に取り組んでいく、提案型のビジネスへと今後は変えていくことが大切です。縦割りであった事業体制に、横串を通すことで、新しいビジネスあるいは新しいビジネスモデルを提案できるようになるでしょう。ホールディングスを中心とした組織構造に変えていくことが、企業文化を変えることにつながっていくと思います。

麿受注型ビジネスモデルはリスクを取らない分、安定しています。しかし、DXは新たな価値の創出が目的です。今後はニーズを先取りし、DXを活用してもっとサービスの質を上げて付加価値を高め、我々の方からアプローチする「創注型」のビジネスモデルに切り替えていきます。それにはデジタルシフトにとどまらず、デジタルデータを解析し、そこに付加価値を付けてお客様にお返しして、お客様の付加価値を高める。またこうした取り組みを「型化」して横展開していきたいと考えています。

経営戦略と人材戦略のマッチング不可欠
人材の流動性高め、ポテンシャル上げる

伊藤この10年、日本企業が取り組んできた変革の蓄積が資本市場から高く評価されるようになってきました。この流れをより強固なものとしていくには、経営戦略と人材戦略のマッチングが大変重要です。至極当たり前なことですが、実はマッチングできていない企業が非常に多い。DXでデータとテクノロジーを掛け算し、一気通貫させて新しいビジネスを創出するといった時、それを担える人材がどのくらいいるか。先ほど、グループのリソースを集結してシナジー(相乗効果)を出していくと言われましたが、経営戦略と人材戦略のマッチングについてはどのように取り組んでいらっしゃいますか。

麿事業ポートフォリオを変えるということは、既存事業に携わってきた人材に新たなスキルを身に付けてもらう、リスキリング(学び直し)が不可欠です。そこで「リスキリングセンター」を新設しました。社員のポテンシャルに合わせ、DX、SXに必要な専門知識を学べる教育プログラムを組んで進めています。もう一つ、さらなる成長に向け、会社として人材ポテンシャルを上げて、全体のパワーアップを図ることを進めています。例えば、次世代リーダーの育成プログラムを組んで、その中で会社の将来について考えてもらうなどを実施しています。私も30代の社員と直接コミュニケーションを取って、2050年のTOPPANの姿を一緒に議論しています。

伊藤事業ポートフォリオを新陳代謝で変えようとしても、それを実行するための人材をマッチングできなければ、絵に描いた餅になります。事業ポートフォリオの組み換え最適化と、人的資本をど真ん中に置いた経営変革は一緒じゃないと成り立ちません。人材版伊藤レポートでも紹介しましたが、人材を資源ではなく資本と捉え、人的資本の価値を限りなく高めていく経営を行うことが大切です。

麿組織に横串を通して、シナジーを出すと口では言えても、それを実行することは本当に難しい。まずはグループ社員にTOPPANの持つリソースやポテンシャルを理解してもらい、会社がどういった方向へと進もうとしているのか、改めて社内勉強会を始める予定です。またグループ内の人材の流動性を高めることも検討しています。皆真面目で将来のことを一生懸命に考えてくれているので、もっとフレキシブルに意見を出し合い、トライしていくことで、会社のポテンシャルも上げられると考えています。

フォト:麿 秀晴氏

麿 秀晴

DXとSXを両輪に社会課題を解決する会社に

DXをドライバーに、突破を図る会社に
123年の信頼を生かした「自由演技」に期待

伊藤今回、社名から戦略的に「印刷」を取ったわけですが、DXを貫いていくと、印刷が取れるのは必然だと思います。DXは特定の領域を対象とするものではないからです。麿さんのお話を聞いて、TOPPANはDXを活用して推進していく、DXSXの同期化を目指していると感じました。

麿TOPPANは印刷を通じて培ってきた技術やノウハウを生かして変革と挑戦を繰り返し、成長を遂げてきた会社です。その原点はエルヘート凸版法という印刷技術。エルヘートはドイツ語で「高める」という意味を持っています。このたびDXのコンセプトを「Erhoeht-X(エルヘートクロス)」と名付けたのですが、TOPPANのDXには創業者の魂も入っていますし、印刷のコアテクノロジーも入っています。今後はDXを成長のドライバーに、突破を図る会社になっていきたいと思います。

伊藤とても頼もしいですね。TOPPANは多様な顧客基盤を持ち、いろいろなビジネスの芽がある。ポテンシャルは高いし、とてもいいポジションにいると思います。ぜひ123年間培ってきた信頼を生かし、DXによって世の中にないビジネスを生み出してください。「自由演技」を期待しています。

麿DXとSXを両輪に、ワールドワイドに社会課題を解決する会社を目指します。本日はありがとうございました。

フォト:テレビCM『すべてを突破する。TOPPA!!!TOPPAN DX編』

テレビCM『すべてを突破する。TOPPA!!!TOPPAN DX編』

2021年4月から、印刷だけではなく世界中の様々な領域で課題解決に取り組むTOPPANの姿を知ってもらうため、テレビCMシリーズを展開。DX編では、俳優の大泉洋さんと成田凌さんの軽妙な掛け合いを通してDXも突破するTOPPANを紹介している。

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※記事内容と肩書きは2023年10月時点のものです。

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