提供:アビームコンサルティング

Vol.3

第一生命とアビームコンサルティングが
デジタル化の枠を超えた共創を推進

「企業のウェルビーイングを実現し、イノベーションと企業価値向上を支える」取り組みで社会貢献へ

【対談】第一生命保険 山口健氏×アビームコンサルティング 水野美歩氏

生保業界が大きく変わりつつある。少子高齢化で人口構造は変化し、パンデミックの流行が社会のデジタル化を加速させ、働き方だけでなく、企業と従業員の関係性も大きく変化している。そのような中、今後、企業向けの保険ビジネスはどのように変化していくのか、そこではどのような価値提供が求められるのか。第一生命保険 執行役員 法人業務部長の山口健氏とアビームコンサルティング 執行役員 プリンシパルの水野美歩氏が意見を交わした。

健康経営を支援して企業に価値を提供する

--今、企業が抱えている課題に対して保険はどう貢献できるとお考えでしょうか。

山口 企業が直面している多種多様な課題の中でも大きいものが「働き方の変化に対応した人的資本経営」です。企業の最大の財産である従業員が生き生きと働ける環境への関心が高まっています。その施策の一つとして福利厚生制度があり、保険はその一翼を担っています。

山口健 氏

第一生命保険株式会社
執行役員 法人業務部長
山口健

 人的資本経営が注目される中で、従業員が安心して就労できる人事制度や働きやすい職場環境を整えるというような従来型の考え方に加え、企業がイノベーションを創出し企業価値を向上させていくためは、最も重要な経営資源である従業員にフォーカスし、「従業員の心身の健康を守る」「従業員の成長を支える」という観点からも企業の福利厚生制度の在り方が今、見直されてきています。

水野 人的資本経営は、これまでも企業にとって重要なテーマでしたが、昨今の環境変化を受けて、より戦略的・優先的に取り組む必要があると考えています。アビームコンサルティングが今秋実施した調査でも、本領域に対する注目度が増しており、多くの経営者が喫緊の課題と捉えていることが分かりました。ESG経営をはじめとする外部要請・情報開示への対応だけでなく、個人の価値観の多様化や、パンデミックの影響による働くことへの意識の変化を受けて、企業と従業員の在り方が従来の枠組みを超えて見直されていることも背景ではないでしょうか。現状は多くの企業が、課題は認識しながらも取り組みを開始したばかり、というステージですが、今後、経営者はもちろん、その最前線を担う人事・総務の方たちの意識もより一層高まり、より具体的な施策を検討し取り入れていくと思われます。

水野美歩 氏

アビームコンサルティング株式会社
執行役員 プリンシパル
コンシューマービジネスユニット長
水野美歩

--その環境変化に対してどのようなアプローチをお考えでしょうか。

山口 保険会社の商品という意味では団体保険や団体年金の提供ということになりますが、我々のお客さまである企業や団体の経営課題にしっかりと応えていくための一つのキーワードは「健康経営」です。今後は、従来の”保障”としてのプロテクションの分野からスコープを広げて、”予防”としてのプリベンションの分野までカバーしていくことで企業の健康経営に貢献していきたいと考えています。

 例えば、健康診断結果の向上に応じた保険料の割引や、健康診断のデータをお預かりし、分析・レポーティングするサービスの提供などの取り組みを始めています。

Well-being貢献サービス(ホール保障)

新たな顧客経験の提供を、幅広い共創で進めていく

--従来の保険の枠組みを超えた取り組みが進んでいるわけですね。

山口 私たちが目指しているのは、お客さまに最良の商品やサービスを最良の体験価値とともに届け続けることです。それはホールセールの分野でも同じです。企業・そしてその先の従業員・ご家族に対しての体験価値向上を常に目指しています。人的資本経営の観点で見ると、企業で働く人のウェルビーイング(幸せ)の実現に貢献することこそが目指す姿です。

 そのためのすべてのサービスを当社単独でお届けすることはできません。だからこそ「共創」が重要になります。例えば、健康保険組合向けに提供している保健事業推進サービス「Healstep(ヘルステップ)」は第一生命グループとみずほフィナンシャルグループがタッグを組み、共に開発・提供しています。

山口健 氏

--例えば、どのようなサービスでしょうか。

山口 Healstepは、AI(人工知能)を活用した医療費の予測や分析を踏まえた方針の策定、保健指導サービス事業者とのマッチングと健康増進アプリの4つのサービスを提供しています。

 今後は中堅・中小企業の実務担当者の業務支援をより強化し、福利厚生分野で価値あるサービスを拡充していきます。働き方が変化していく中で企業は様々な課題を感じていると思います。その課題解決につながるソリューションを増やしていくことが重要です。そこでデジタル領域に高い専門性を持ち、様々な解決策を提案できるアビームコンサルティングとの共創も推進しようとしています。

柔軟な提案と、実現までの伴走が高い信頼感につながった

--アビームコンサルティングとはこれまでにどのような取り組みをしているのでしょうか。

山口 最初は個人保険分野でのAIを活用したデータ分析からスタートし、ここ3年ほどは法人営業の組織力強化を共同で推進しています。データを利活用し、そこから導き出されたインサイトを通じて、より品質の高いサービスを提供し続ける、我々のサービスを支えるコアの変革を支援してもらっています。

水野 これまで蓄積された膨大なデータの分析に基づく、効果的なマーケティング施策の企画提案や、AIを活用したロールプレーイングによる営業力のさらなる強化など、我々のデジタルテクノロジーとデータ分析の専門性を生かしたご支援をしています。ビジネスモデルの変化に応じて法人営業の在り方も変わる中で、単なるデジタルありきではなく、デジタルによって従来の組織力をより高めるようなご提案を行ってきました。

山口 アビームコンサルティングの特徴は、型にはまった提案ではなく、私たちの課題に柔軟に対応した提案力です。我々企業の目線ではなく、その先の顧客起点で考え、総合力を生かした幅広い提案をしてくれる、そしてその実現まで伴走してくれるところが他社とは異なります。信頼できる共創パートナーとして高く評価しています。

山口健 氏

「顧客起点で考え、様々な提案をしてくれる、そしてその実現まで伴走してくれるところが
他社とは異なります。信頼できる共創パートナーとして高く評価しています」(山口氏)

--アビームコンサルティングはどうしてそのような支援ができるのでしょうか。

水野 我々はCX(Customer Experience Transformation)を、「顧客を中心に据えた、顧客起点でのビジネスモデル変革」と位置付けています。クライアントの先のお客さまに新しい価値を提供するために、特定のソリューションやサービスにこだわらず、様々な解決策を組み合わせてビジネスモデルの変革を総合的に支援できることが私たちの強みです。40年以上にわたり、様々な業界・業種のお客様に対しコンサルティングサービスを提供してきた経験に裏打ちされた、業務への深い理解、そして新しいモデルをデジタルテクノロジーの力で実現していく力は日本でもトップクラスの力があると自負しています。また、国内外のネットワークを幅広く利用し、日本だけでなく海外の新しいテクノロジーを目利きして最適なご提案をすることが可能です。ビジネスモデル変革において最も重要なことは、実現可能性、そして実現までのスピードだと考えています。我々は、構想から実現までをワンストップで提供でき、異なるものを組み合わせて、新しいものをつくり上げていくことを得意としています。それがアビームの文化でもあります。

山口 まさにそれを実感しますね。例えば我々自身でまだ課題が顕在化していない、目指す姿が見えていない、など曖昧とした状況からでも、漠然と考えていることをお伝えすると、様々な視点から新しい提案の議論が始まります。また、アイデアを提案するだけでなく、その実現性を検証し、成果の創出まで伴走してくれると理解しているので、本当の意味での共創パートナー、と言えるのではないでしょうか。

幅広い領域での共創で企業のウェルビーイングを支える

--アビームコンサルティングはどのような共創パートナーを目指されていますか

水野 第一生命様の取り組みには深く共感しており、大きく3つの切り口からパートナーとして貢献したいと考えています。1つ目はこれまでもご支援してきたデータの利活用です。データ分析の専門性を生かして、お客様の真のニーズをデータから洞察し、まだ他社が提供していない革新的なサービスや効果的なプロモーションをご提案していきます。

 2つ目は、よりアジリティー(俊敏性)の高いビジネス基盤の構築です。第一生命様は、デジタルを駆使した新しい価値創出に次々とチャレンジされています。デジタルサービスの目利きと組み合わせ、ビジネスモデルの頻繁な変化を支えるITマネジメント、柔軟な組織・プロセスの設計など、我々の強みを生かして今後のさらなる事業拡大を支えていきたいと考えています。

水野美歩 氏

「データ活用とアジリティの高いビジネス基盤構築で、
さらなる価値提供を支える共創のエンジンに」(水野氏)

 そして3つ目は共創のためのオーケストレーションです。今後、第一生命様がエコシステムの中核となり、他企業やサービスとの連携はさらに進むでしょう。その際、様々な事業の経験とネットワークを持つ第三者として、触媒の役割を果たしたいと考えています。価値の連鎖を生むマッチング、プレーヤー間のルール整備、また多様なサービス・データ同士の安定的な連携など、我々の支援が共創のエンジンとなればと思います。

--今後はどのような展開をお考えでしょうか。

山口 企業向けの商品・サービスの提供においても時代の変化に合わせた契約手続きのデジタル化を進めていますが、単なる手続きのデジタル化だけではなく、従業員の健康意識を高めることにつながるプロモーションも考えていく必要があります。これまでは、営業担当者が従業員の皆さまにお会いして保険パンフレットをお渡しすることで、健康について考えるきっかけになっていたはずです。契約手続きがデジタル化されることによって、今までとは違う方法で、従業員一人一人に適したタイミングとご提案内容でご自身やご家族の健康について考えていただけることが出来たら、新しい体験価値をお届けすることになるのではないかと考えています。

水野 第一生命様の取り組みは、まさにアビームが提唱するCX(Customer Experience Transformation)のモデルとなるものです。企業の先の従業員やご家族も「顧客」と捉え、また、デジタルテクノロジーを駆使することで、新しい提供価値を創出されている点。加えて、人的資本経営、健康、安心安全な生活、といった、社会課題の解決に直接的に貢献されている点も、多くの企業の共感と尊敬を集め、今後の共創はますます広がるでしょう。この共創を通じて、企業のウェルビーイングと人的資本経営の実現を支援し、イノベーションと企業価値向上に貢献していきたいと考えています。

山口健 氏 水野美歩 氏

profile

山口健

1972年生まれ。95年慶應義塾大学法学部卒、同年3月第一生命保険相互会社入社。主に企画管理分野、リーテイル分野、ホールセール分野に従事。2018年 団体保障事業部長、2021年 執行役員法人業務部長(現職)。

水野美歩

総合商社を経て2000年にアビーム コンサルティング入社。製造、金融、流通、サービス、商社など幅広い業種に対して、顧客接点領域を中心とした戦略立案から改革実行までを 多数支援。豊富なコンサルティング経験を生かし、執筆、外部講演や講師経験も豊富。

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