平井 良典さん Grand Seiko

SUITS OF THE YEAR 2022 Interview with the winner
ビジネス部門 受賞 AGC株式会社
        代表取締役 兼 社長執行役員CEO 平井 良典さん

1959年福井県生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。87年に旭硝子(現AGC)入社。液晶パネル事業子会社の副社長などを経て、2011年にAGC事業開拓室長。16年CTO(最高技術責任者)となり、21年から現職。京都大学の客員教授として年に数回、教壇にも立っている。

1959年福井県生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。87年に旭硝子(現AGC)入社。液晶パネル事業子会社の副社長などを経て、2011年にAGC事業開拓室長。16年CTO(最高技術責任者)となり、21年から現職。京都大学の客員教授として年に数回、教壇にも立っている。

SUITS OF THE YEAR 2022 NIKKEI STYLE Men's Ex

「SUITS=挑戦を続ける者に欠かせないツール」をコンセプトに、ビジネス、芸術・文化、エンターテイメントなど、様々な分野で活躍する人を表彰する。挑戦を続ける者達はどんな「時」を生きているのか? スーツ・オブ・ザ・イヤーの各部門受賞者に、「時間」と「グランドセイコー」についての私感を聞いた。

他部門の受賞者インタビュー

時計は装いと気持ちを引き締める装置

 平井良典さんが着用する上質な素材感のスーツは、じつは伸縮性に富んだイタリア製の最新ウールジャージーを使用。常にチャレンジングな素材開発を行うAGCのトップにふさわしいチョイスだ。腕にあるグランドセイコーも、1960年の誕生以来、精度はもちろん、視認性、耐久性、装着性、デザイン性とあらゆる面においてチャレンジを続けている。

「グランドセイコーの時計には以前から引かれていました。派手すぎない控えめなデザインながら、明らかに良い時計のオーラがある。美しく研磨されたケース、透明度の高いサファイアガラスなども素材に関わるものとして気になっていたんです」

 装いと気持ちを引き締めるために、腕時計は仕事に欠かせないと語る平井さんだが、一方で腕時計を着けない時間も大切にしている。

「深夜、家族が寝静まったとき、スコッチを片手に一人で思索にふけるんです。BGMを薄く流して、くつろぎながら。自分がもっとも自分らしくいられる貴重な時間です。会社にいると、いろんな雑事が多すぎて落ち着いて物事を考えられませんので、ここで仕事上の重要な案件を決断することもあります」

平井 良典さん

 平井さん自身のチャレンジ哲学を聞くと、しばし黙考したのち、次のように答えた。

「社内では次の2つのことをよく話します。一つ目は“何も動かないうちから、不可能だと判断しないこと”。できないと思った瞬間に成功確率はゼロになります。二つ目が“チャレンジは楽しんでやろう”です。新しいことに挑戦すると必ず幾つもの壁に当たります。それをロールプレイングゲーム感覚で一つひとつクリアしていこうと。楽天的に思われるかもしれませんが、そういう気持ちでいないと体が持たない(笑)。今まで山ほどチャレンジしてきた身としての実感です」

 事業開拓室(現事業開拓部)の初代室長をはじめ、様々な部署や立場で次々とAGCの次の柱となるビジネスを創出してきた人ならではの言葉だろう。

「チャレンジは創業からの当社のカルチャー。ただ21世紀に入って旧来のガラス事業が失速すると、管理主義、前例主義、減点主義に傾いていた。空気を変えるためにも、私たちは事業開発室をつくり、いろんなことに挑戦する姿を見せてきたわけです」

 AGCは前社長の時代に事業ポートフォリオを“両利き”に転換。既存事業を大切にしながら、戦略的に新事業も探索し続けている。

「素材開発事業は長いスパンにわたって行われるもの。現在はモビリティー、エレクトロニクス、ライフサイエンスの3領域に力を注いでいますが、これらのうち、多くの事業は10年、20年前から着手し、それが今ようやく花開きつつある。素材開発には先を見る目が大切なんです」

 組織として先見の明を持ち続けるには人材への投資は何より重要と語る。先頃話題となった大幅な賃上げ発表も、その表れだ。

「日本の企業がこれからグローバルに戦っていくためには人材にお金をかけなければダメ。社員を絶対に組織の歯車にしない。自立していない歯車ばかりの組織では成長は無いし新事業は生まれません。社内転職や副業を認めるなど“個”が成長するためのいろんな仕組みも、すでに整備しています。素材のAGCは、“人財”のAGCでもあるんです」

平井 良典さん

PHOTO/筒井義昭 文/吉田 巌 
企画協力=世界文化社 MEN'S EX

平井 良典さん

スーツ・オブ・ザ・イヤーのビジネス部門受賞の喜びを語る
AGC株式会社 代表取締役 兼 社長執行役員CEOの平井良典さん

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エボリューション9 コレクション
SLGH005

 グランドセイコーに新たに加わった「エボリューション9 コレクション」の人気をけん引する美しき機械式3針モデル。丹念にザラツ研磨されたケースに、壮麗な白樺林をモチーフとする型打ち模様のダイヤルをセット。シースルーバックから鑑賞できる薄型の自動巻きムーブメント「キャリバー9SA5」は、毎時3万6000振動のハイビートながら、最大80時間駆動を達成する。2021年度のジュネーブ時計グランプリにてメンズウオッチ部門賞に輝いたことも大きな話題となった。

径40mm/SSケース/104万5000円(税込)

グランドセイコーフラッグシップブティック、グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロンおよびグランドセイコーマスターショップで取り扱い

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