三井不動産

持続可能な社会を街づくりから
~三井不動産の挑戦~

#2

「脱炭素」を見据え
新たな取り組み
グリーン電力化へ施策続々

 三井不動産は2020年12月、温室効果ガスの排出量を50年度までに実質ゼロとする中長期目標を設定した。脱炭素の一連の取り組みは、持続可能な街づくりを支える一大要素となっている。

三井不動産グループで保有する森林の様子(北海道南富良野町)

持続可能性への取り組み
脱炭素のためにより進化を

温室効果ガス排出量の削減目標 温室効果ガス排出量の削減目標

 三井不動産が北海道に広大な森林を保有・管理していることはご存じだろうか? その面積は約5000ヘクタール(東京ドーム1063個分)、二酸化炭素(CO2)吸収・固定量は年約5343トンに達する。同社はこれまでも「経年優化」な街づくりを掲げ、持続可能な社会に向けた取り組みを進めてきた。ハード面では地域との共生に役立つ緑地空間や植栽計画の整備、省エネ施策の推進、ソフト面ではタウンマネジメントによるコミュニティー形成、環境保全活動「エコWEEK」の開催、社員向けの植林研修など、その活動は多岐にわたる。保有森林についても「植える、育てる、使う」のサイクルを重視しており、伐採した木材を施設の内装などに活用している。

 これまでも持続可能な社会の実現や地球環境に配慮してきた三井不動産だが、足元では「脱炭素」をめざし、よりいっそう進化した持続可能な街づくりに向けて動き出している。グループ全体で2030年度の温室効果ガス排出量30%減(2019年度比)を、2050年度にはネットゼロまで減らすのが目標だ。

グループ保有林の位置

グループ授業員による植林研修活動

活用事例(建築資材や、ビル内装材等)

 これまでも持続可能な社会の実現や地球環境に配慮してきた三井不動産だが、足元では「脱炭素」をめざし、よりいっそう進化した持続可能な街づくりに向けて動き出している。グループ全体で2030年度の温室効果ガス排出量30%減(2019年度比)を、2050年度にはネットゼロまで減らすのが目標だ。

温室効果ガス排出量の削減目標 温室効果ガス排出量の削減目標

 この目標実現のためにはいくつかの仕組みが必要になる。例えば三井不動産が自社保有する建物の共用部や、テナント企業が賃借する専用部の電力グリーン化に活用するうえで必要なのが、いつ、どこで、どのような再生可能エネルギーで発電されたかを証明する「トラッキング付き非化石証書」※だ。

※非化石証書……再生可能エネルギーなど非化石電源で(過去に)発電された電気の環境価値を切り離して証書化したもの

首都圏120全施設
30年度までにグリーン電力化

 首都圏で所有するオフィスビルや商業施設、物流倉庫、ホテルなど約120の全施設では、再生可能エネルギー由来の「非化石証書」を活用して、30年度までに建物共用部(持ち分相当)の使用電力のグリーン化を実現する。特に「東京ミッドタウン」シリーズの3施設や日本橋エリアのオフィスビルなど、エネルギー使用量の大きい基幹の25棟では、先行して22年度末までに使用電力のグリーン化を達成する計画だ。

 中でも特定電気事業により電気供給を受ける東京ミッドタウン八重洲(東京・中央、22年8月竣工予定)では、三井不動産が北海道苫小牧市など全国5カ所で開発・保有している太陽光発電所の環境価値を「非化石証書」として活用し、電力グリーン化を実現する。また、既に特定電気事業により供給を始めている日本橋エリアと豊洲エリアにおいても、21年度下期から「非化石証書」を活用したグリーン電力化を推進する。

三井不動産が保有している「三井不動産苫小牧太陽光発電所」(北海道苫小牧市) 三井不動産が保有している「三井不動産苫小牧太陽光発電所」(北海道苫小牧市)

「非化石証書」を活用
テナントのニーズに
細かく対応

 温室効果ガス排出量の削減目標の公表と時を同じくして、達成に向けた第1弾として東京電力エナジーパートナー(EP)とグリーン電力に関する包括協定を結んだ。4月から順次、住宅用太陽光発電などで再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の期間を終えた「卒FIT」由来のグリーン電力を「非化石証書」を活用して提供している。三井不動産が保有・転貸しているオフィスビルで、東電EPから電力供給を受けているテナントなどが対象だ。

 卒FIT由来の環境価値が付いたグリーン電力をテナント企業のニーズやプランに応じて、供給時期や割合を柔軟に変更して安定的に提供するのは国内初。既に東京ミッドタウン日比谷(東京・千代田)などで先行して導入している。提携に際して、両社は30年度に向けて約6億キロワット時の使用電力を実質的にグリーン化する計画を掲げた。オフィスビルに入るテナント企業にとっても、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを支える力になりそうだ。

省エネ電源 系統電源

小売電力事業者

オフィスビル・商業施設等

ビル教養部(当社保有) テナント・ビル所有者

「グリーン電力提供サービス」としてテナントなどへ柔軟な提供が可能

 30年度末までにグリーン化される電力量は年間換算で約3億キロワット時と、東京ミッドタウン日比谷の共用部で使う電力の約30棟分に相当。CO2削減効果も、一般家庭約6万9000世帯分の約12万3000トンに及ぶ。

入居テナントの声 EY Japan

「オフィスビルの入居者がグリーン電力を調達するのは難しい課題でした。このたび三井不動産のサービスを適用することで、EY Japanとしては2021年度中に41万キロワット時をグリーン電力化する予定です。EYは2025年までの『実質ゼロ(ネットゼロ)』を目指しており、グリーン電力などの取り組みがビル全体でできることは目標達成に向けても大変良いことだと考えています」

創エネへ積極チャレンジ始動
環境配慮型の
グリーンエネルギー倉庫から

 グリーン電力化は都心部のオフィスビルにとどまらない。5月6日に着工し22年9月の竣工を予定している物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク海老名Ⅰ」(神奈川県海老名市)では、広い平面スペースを活用し、屋上に太陽光発電設備を設置して共用部の使用電力の8割をカバー。エネルギー消費量を実質ゼロとするZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の認証を取得予定だ。加えて、東京ミッドタウン日比谷と同様に、「非化石証書」を活用したテナント向けの「グリーン電力提供サービス」を導入。利用実態に応じて施設全体のCO2排出量が実質ゼロになる「グリーンエネルギー倉庫」を、業界で初めて実現する。

 エントランスやラウンジの家具には、北海道にある保有・管理森林で発生する間伐材を使用。隣接する海老名運動公園との緩衝帯には、「グリーンインフラ」として雨水貯留池や緑地帯を設けて、周辺環境との調和を図り、地域社会との共生を目指した関係を推進する。こうした創エネの取り組みをロジスティクス事業でスタートさせ、今後脱炭素化に向けさらなる展開を図っていく。

隣接する海老名運動公園との緩衝帯にグリーンインフラを設ける(完成イメージ) 隣接する海老名運動公園との緩衝帯にグリーンインフラを設ける(完成イメージ)

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

三井不動産は持続可能な開発目標(SDGs)を
支援しています。

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