三井不動産

持続可能な社会を街づくりから
~三井不動産の挑戦~

#4

ホテルを通じ、街との共栄はかる
ダイバーシティに挑む若手社員

 多様な顔を持つ街をつくりあげる仕事は、それ自体がダイバーシティ。三井不動産が新しく手掛けるホテルブランド『sequence』も、街に対して開かれた「やさしいつながり」という価値を発信している。持続可能な街づくりの一つの形がここにある。

従来の枠に
とらわれないホテル
ライフスタイル・
価値観への訴え図る

sequence MIYASHITA PARK sequence MIYASHITA PARK

 さまざまな人が集まる街は、さまざまな顔を持つ。街づくりを手掛ける三井不動産グループもまた、オフィスビル、商業施設、住宅などさまざまな形で街とのかかわりを持っている。多様性を意味するダイバーシティという言葉は、三井不動産の仕事そのものと言ってもいい。

 ホテル・リゾート事業もその一例だろう。宿泊主体型の三井ガーデンホテルズやセレスティンホテルズ、フォーシーズンズホテル東京大手町に代表されるラグジュアリーホテル、地域の特色を生かしたNEMU RESORTなどのリゾート型ホテル。それぞれが特徴を持ち、街や地域との接点を生かしながら多様なサービスを顧客に提供している。

 その三井不動産が、2020年に新たにスタートしたホテルブランドがsequence(シークエンス)だ。自分のスタイルで、人や街との「やさしいつながり」を楽しむというコンセプトで、東京・渋谷の『sequence MIYASHITA PARK』、京都市の『sequence KYOTO GOJO』、東京・水道橋の『sequence SUIDOBASHI』を立て続けに開業した。

sequence MIYASHITA PARK sequence MIYASHITA PARK

 ブランド開発メンバーの1人であるホテル・リゾート本部 ホテル・リゾート運営一部 運営企画グループの江連沙織主任は、「従来の枠にとらわれない新しいスタイルのホテルを目指しました」と話す。これまでのブランドでまだすくいきれていない顧客、新しいライフスタイルやブランドの価値観に共感してくれる利用者にアプローチしようとする、野心的な取り組みだ。

「SMART」「OPEN」「CULTURE」
利便性を高める技術
 地球環境にも配慮

 新しいホテルブランド立ち上げのため、三井不動産では年齢や性別、経験値も多様なメンバーが集まり、4~5年の歳月をかけて検討を行った。人と人のつながりやその地域ならではの個性、公園で寛ぐような居心地よさといったものを提供するため、「やさしいつながり」を理念に掲げ、具体的なコンセプトとして「SMART」「OPEN」「CULTURE」の3つを打ち出した。具体化に向けては自社やグループ会社だけでなく、より多様性や新しい価値観を求めて外部クリエイターもプロジェクトメンバーに巻き込みながら、「新しいスタイルのホテル」を模索した。

 一例がチェックアウトの時間。午前中をチェックアウトとしているホテルが多い中、sequenceでは14時を設定。宿泊した人に日中の街の雰囲気やランチまで含めて、チェックアウト時間を気にせず地域を満喫してもらいたいとの考えで取り入れたこの策は、実際に顧客から高い評価を受け、SNSなどで評判が広がった。「午前中にいったん外出し、ランチの後にホテルに戻ると言った活用法をお客様自身が編み出しています。私たちホテルの方がお客様に教わることも多いですね」と江連さんは笑みを浮かべる。チェックインの際には顔認証で、チェックアウトは各室内のタブレットでできる点も、利便性の高さにつながっている。

sequenceでの過ごし方

顔認証でチェックイン

宿泊

朝食

街を楽しむ

ホテルに戻ってタブレットでチェックアウト

アメニティは歯ブラシなど最低限にとどめ

アメニティは歯ブラシなど最低限にとどめ(写真上)、
スタッフのジャケットには抗菌加工を施した(写真下)

スタッフのジャケットには抗菌加工を施した

アメニティは歯ブラシなど最低限にとどめ(写真左)、スタッフのジャケットには抗菌加工を施した

 地球環境への配慮も、ライフスタイルや価値観を訴えるホテルでは重要だ。各室に置いているアメニティは歯ブラシなどにとどめ、後は必要に応じてフロントでピックアップしてもらう方法を採用。余計なごみを出さない仕組みにしている。シャンプーは界面活性剤を使用しないものを配置。スタッフが羽織っているジャケットには抗菌加工が施されており、オーガニックで土に還る素材を使用、生産工程で水の削減などにもつながる工法を採用している。「企画の段階から国籍や性別、世代の括りにとらわれずに考えていましたが、実際にこうした価値観に共感する幅広いお客様に宿泊いただいています」と江連さんは話す。

街に対して開かれた
空間を準備
宿泊客に地域の魅力を発信

オリジナルタンブラーは地域の人でも購入・利用できる オリジナルタンブラーは地域の人でも購入・利用できる

 sequenceは街とのかかわり方についても新しい形を模索している。『sequence MIYASHITA PARK』は、ロビーフロアが渋谷区立宮下公園と直結しており、公園からまっすぐロビーラウンジカフェに足を踏み入れることが可能。カフェで売っているオリジナルタンブラーを購入した人にはコーヒーを無料サービスするなど、ホテル宿泊者だけではなくオープンに地域の人が気軽に訪れられるようにしている。

 内装材にも地域とのかかわりを取り込んでいる。フロントのスツールやカフェの椅子に使われているのは、旧宮下公園に生えていたケヤキの木を再利用したものだ。「ホテルは街の中でも特殊な用途を担っています。365日、いろいろな人が訪れるホテルを生かし、宿泊機能だけでなく街の良さを発信していきたいと思います」と、江連さんは話す。

オリジナルタンブラーは地域の人でも購入・利用できる オリジナルタンブラーは地域の人でも購入・利用できる

チャレンジし、
いいものへ発展させる文化
三井不動産が描く
持続可能な街づくりへの1手

「三井不動産はダイバーシティが好きな会社」と話す江連さん 「三井不動産はダイバーシティが好きな会社」と話す江連さん

 新入社員としてホテル・リゾート本部に配属された江連さん。ブランド作りにおいては最初から他の社員と同じ立場で意見を述べてきた。「三井不動産はダイバーシティが好きな会社」(江連さん)。年齢や特定の価値観で決めるのではなく、自分にはない考えをぶつけ合い、チャレンジして、いいものへと発展させ街づくりを通して新しい価値を提供するのが三井不動産だという。

 もともと三井不動産は、ホテル以外でもオフィスビルや商業施設、住宅を含め、さまざまな事業を手掛けている。そこでの仕事は、自然に幅広い環境に身を投じ、違う業種や考えの人の話を面白がって聞く文化を創り上げているようだ。江連さんもそうしたカルチャーの中で、外部の人材とも連携し、自らが追い求めるホテル像の実現に邁進している。

「三井不動産はダイバーシティが好きな会社」と話す江連さん 「三井不動産はダイバーシティが好きな会社」と話す江連さん

 江連さんは「リモートワークが急速に浸透したこの時代に、例えば自宅以外の第2拠点としてホテルを利用するようなプランやワークスタイルをホテル側から次々と提案しています。実際に多くの方からうれしい反応がありました」と話す。宿泊にとらわれず、ライフスタイルに応じた使い方のできるホテル。持続可能な街づくりに向けた「新しい一手」が、また三井不動産から生まれようとしている。

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

三井不動産は持続可能な開発目標(SDGs)を
支援しています。

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