NIKKEI Integrated Report Award 日経統合報告書アワード

企画・制作:日本経済新聞社 イベント・企画ユニット

2022年の審査結果

第2回 日経統合報告書アワード 各賞決定 NIKKEI Integrated Report Award 2022

グランプリに3社を選出

財務・非財務情報を包括し、積極的に情報開示をする企業を表彰する「第2回日経統合報告書アワード」の最終審査が2月21日に開催され、各賞が決定した。昨年度の290社・団体を大幅に上回る387社・団体が参加し、3カ月にわたり審査を実施。審査には、400名以上の機関投資家、学識経験者に多大なるご協力をいただき、レベルの高い統合報告書を審査・選別。その結果グランプリに、伊藤忠商事、オムロン、レゾナック・ホールディングスが選ばれた。日本市場活性化の一翼を担う企業の統合報告を紹介する。

(各賞の社名は五十音順、株式会社は省略)

グランプリ

伊藤忠商事
伊藤忠商事
トップの意思が具体的に伝わる

経営トップの強い意思が報告書全体と整合し、具体的かつシンプル。マテリアリティ抽出も秀逸な価値創造モデルと一致し的確。バランスのとれた財務政策、時系列目標明示のTCFD開示、女性の活躍など明確な人材戦略、透明性高い子会社ガバナンス開示も素晴らしい。

オムロン
オムロン
完成度が極めて高い統合報告

目指す姿が明確に示され、社会価値と企業価値の両立を目指す意欲が伝わる。完成度が極めて高い。投下資本利益率(ROIC)の逆ツリー展開による管理手法はユニークかつ秀逸で、ビジネスモデル変革への取り組みがよく分かる。人的資本の記載やTCFD開示も充実。

レゾナック・ホールディングス
レゾナック・ホールディングス(旧・昭和電工)
経営変革と熱意がよく伝わる

企業統合の渦中で出された統合報告でありながら、グランプリに値する最良のリポート。経営変革を進める新CEOのメッセージの具体性と熱意、選任プロセスの開示は秀逸。「共創型化学会社」として社会を変える人材創出を目指す企業姿勢が投資家によく伝わる。

グランプリE賞

日本航空
日本航空
環境改善のプロセス記述が充実

パーパスや理念がJALらしい。中期計画に沿った価値創造プロセスが秀逸であり、ESGとの関係づけを定量的な時系列目標とともに上手に表現している。特に環境改善のための具体的プロセスが充実し、2050年のネットゼロに向けたロードマップからも熱意を感じる。

グランプリS賞

住友金属鉱山
住友金属鉱山
人権方針と取り組みを高く評価

ESG項目のKPI設定について抽出プロセスを含めて詳細な説明があり、企業価値創造との関連性も適切。特に人権についてグループ方針を定義し、「先住民の権利」をマテリアリティに設定している点は興味深い。サプライチェーンを含めた改善の取り組みも高く評価。

グランプリG賞

日立製作所
日立製作所
現状と課題が立体的に理解できる

ESGのすべてにおいてトップレベルであり、他社比較で突出している点で当賞に選ばれた。ガバナンスの記載は充実しているだけでなく、その内容は現状と課題が立体的に理解できるもので他社の参考になる。必要スキルを持つ取締役の人数を記載しているのも斬新。

準グランプリ

塩野義製薬
塩野義製薬
人的資本戦略室の設置は先進的

マテリアリティが事業価値創造との関係で過不足なくリストアップされている。ESG項目についての記述も適切なKPIが提示されている。新型コロナウイルス感染症についての特集記事はタイムリーであり読者の参考になる。人的資本戦略室の設置は先進的で好印象。

J.フロント リテイリング
J.フロント リテイリング
覚悟を感じるトップメッセージ

コロナ禍の影響を大きく受けた中で、新たな成長にむけた具体的な戦略を経営トップが自らの言葉で語っており覚悟を感じる。事業ポートフォリオの見直しに向け、各事業に求めるROICと加重平均資本コスト(WACC)目標を明示しており、資本効率上昇を期待させる。

T I S
T I S
随所に読者理解を助ける工夫

全体を通じて読者の理解を助ける工夫が随所にあり、分かりやすい。財務情報の開示は質・量とも十分であり、経営資源の分析が的確。資本戦略についての開示もレベルが高い。環境課題や人材戦略の情報も豊富に開示しており、ステークホルダーの理解を助ける。

東京応化工業
東京応化工業
ナラティブがほぼ完璧な報告書

「社会の期待に化学で応える」というパーパスドリブン、ニッチトップの追求、長期的研究開発の企業風土がビジネスに直結し結果を出していることが分かる、ナラティブがほぼ完璧な統合報告。社長肝いりの従業員エンゲージメント向上の取り組みも好印象を与える。

東京海上ホールディングス
東京海上ホールディングス
説得力あるパーパスストーリー

熱意のこもったトップメッセージ、リスクと機会、企業価値向上と社会課題への貢献の記述はバランスがよく、「お客様と地域社会の“いざ”を支える」というパーパスストーリーには納得感がある。価値創造モデルは独自性があり、100年後まで見据えたスケールは見事。

村田製作所
村田製作所
心に残る優れた内容の報告書

地に足をつけて将来を描いている優れた内容の統合報告書。一読して技術にこだわる当社のカルチャーが理解でき、心に残る。投資戦略や資本配分の明確な開示は、投資家にとって極めて有用。ESG関連の記述も充実しており、細部まで深く考えられていることが伝わる。

新人賞

ニッスイ
ニッスイ
シンプルで伝わりやすい報告書

構成がシンプルかつ分かりやすく、企業価値向上への熱意が投資家に伝わりやすく仕上がっている。社名を変更してポートフォリオ改革に本気で取り組んでいこうとする姿勢が見える内容となっている。

※新人賞は、上位企業の中より、本賞への初参加の企業を選出

審査員特別賞

商船三井
商船三井
改善努力の継続を高く評価

事業環境、全社戦略の説明が分かりやすい。会長と社外取締役との対話を通じて、不断のガバナンス改革を加速させてきたページが充実しており、説得力がある。

※第1回アニュアルリポートアウォードから25回目の本年、継続的に参加し、たゆまぬ改善の姿勢を評価し、審査員特別賞を新設

優秀賞

アサヒグループホールディングス

アステラス製薬

伊藤園

ANAホールディングス

エヌ・ティ・ティ・データ

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス

オリックス

カプコン

ゴールドウイン

小松製作所

コンコルディア・フィナンシャルグループ

シスメックス

積水化学工業

双日

ソフトバンク

SOMPOホールディングス

第一三共

大和証券グループ本社

大和ハウス工業

TDK

デンソー

東レ

豊田通商

南海電気鉄道

ニチレイ

日清オイリオグループ

NIPPON EXPRESSホールディングス

日本碍子

日本特殊陶業

野村総合研究所

阪急阪神ホールディングス

不二製油グループ本社

三井住友トラスト・ホールディングス

三井物産

三菱ケミカルグループ

三菱地所

三菱商事

三菱UFJフィナンシャル・グループ

ミネベアミツミ

リコー

りそなホールディングス

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