提供:PwCコンサルティング

日経電子版オンラインセミナー「VUCA時代のインテリジェンス経営」

リポート6パネルディスカッション3

アイドルとコンサルタントが語る未来~個と組織、そして社会との新たな関係~

写真:桂 氏 影山 氏 三治 氏 江連 氏

不確実性の高い社会情勢で注目される「ティール組織」

“個と個のつながり”から価値が生み出されていく時代へ

【パネリスト】
PwCコンサルティング合同会社
専務執行役 パートナー

桂 憲司

【パネリスト】
日向坂46

影山 優佳

【パネリスト】
PwCコンサルティング合同会社
上席執行役員 パートナー
Technology Laboratory 所長

三治 信一朗

【モデレーター】
経済キャスター

江連 裕子

産業構造が安定していた時代には事業計画を遂行することで成果が期待できたが、将来が不確実な現在は、単に計画を遂行するだけの組織は生き抜くことが困難となっている。一方、さまざまなテクノロジーが急速な勢いで進化して多様性が重視される時代においては、個の持つパワーがどんどん増強しており、組織や社会へ与える影響も大きくなっている。そうしたなか、個と組織の関係性はどのように変化しているのか、そして企業はどのような組織のあり方を目指すべきなのか――。日向坂46のメンバーとして活躍するアイドル影山優佳氏をパネリストに迎え、PwCコンサルティングを牽引するコンサルタント2名との異色のパネルディスカッションが行われた。

リポート1

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【Keynote】
いまこそ磨くべきマクロ経済のインテリジェンス

リポート2

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【対談】
日本企業が持続的成長を遂げるためのカギとは?

リポート3

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【テクノロジー鼎談】
近未来を変えるバーチャルテクノロジーの課題とは?

リポート4

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【パネルディスカッション1】
SX/GX分野で日本企業はいかに勝ち筋を掴むか

リポート5

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【パネルディスカッション2】
専門領域を超えた“統合知”としてのインテリジェンス強化が急務

中央集権型から自律分散型へ変化する組織

写真:江連 裕子 氏

【モデレーター】
経済キャスター

江連 裕子

ラジオNIKKEI 「ザ・マネー」 経済キャスター。企業の監査等委員・社外取締役、公益財団法人理事、企業の顧問・アドバイザー等も兼任。経済学修士。TBSニュースバード、フジテレビ経済レポーター、テレビ東京モーニングサテライト・Mプラス11、日経CNBCで9年間メインキャスター、国際ビジネス情報番組「世界は今-JETRO Global Eye」キャスターを歴任。ラジオNIKKEIでは15年間、経済キャスターを担当。企業のIR、セミナー、司会、モデレーター等を多数経験。

江連 影山さんのようなインフルエンサーに象徴されるとおり、企業や社会に対して個人が大きな影響を与える時代が到来しています。まずは桂さんに、企業と組織、そして個人という観点から、この新たな時代の特徴や関係性についてお話をいただけますか。

写真:桂 憲司 氏

【パネリスト】
PwCコンサルティング合同会社
専務執行役 パートナー

桂 憲司

PwCコンサルティングにおけるストラテジー、トランスフォーメーション、テクノロジー、リスク、デジタルなど全体のサービスおよびプラットフォームの責任者。各業界部門の日本における統括責任者、新興国進出支援室室長などを歴任後、東南アジアにおける日本企業のコンサルティング業務を統括し、2018年に帰国後、デジタル領域のビジネスを統括するテクノロジーコンサルティング事業部長を務め、22年7月より現職。

 社会がどんどん複雑化するとともに、テクノロジーが急速に進化し、個の発する情報の価値が高まっています。見方を変えれば価値そのものが多様化しており、企業が旧来からの中央集権モデルで価値を生み出すのは困難になっています。

そうしたなかで個人と企業の関係性も大きく変わっていき、個と個がピアツーピアの技術によってつながりあった自律分散型組織がつくられていくと考えています。誰もコントロールする人がいないコミュニティーのなかで意思決定がなされていく組織形態です。もちろん、すべての組織が自律分散モデルに置き換わるわけではなく、中央集権モデルとどのようにバランスをとっていくのか、企業の戦略が問われることになります。

写真:影山 優佳 氏

【パネリスト】
日向坂46

影山 優佳

女性アイドルグループ「日向坂46」のメンバー。全人口の上位2%のIQの持ち主のみが参加可能な高IQ団体「MENSA(メンサ)」の会員でもある。アイドル界で随一のサッカー通としても知られ、審判4級の資格を持つ。趣味はほかに勉強・謎解き・舞台鑑賞。筑波大学附属高等学校卒業。インスタグラムのフォロワー数は現在70万人超。

影山 桂さんのお話をうかがって思い出したのは社会科の授業で、国家統治のあり方として中央集権型と地方分散型があると学んだことです。いまの日本は中央集権型から地方分散型に移行する動きが強まっているように思いますが、同じように経済も自律分散型に移行しようとしているのですね。これまでの企業組織とは違ったコミュニティーから新たな価値が生み出されていくという未来の姿に、とても興味を持ちました。

江連 影山さんは「アイドル界No.1のサッカー通」としても知られていますが、サッカーの世界にも個と組織の独特な関係性がありそうですね。

影山 サッカーの世界ではまず個としての選手がいて、選手と契約しているクラブチームがあり、さらにそのクラブチームの運営企業や、ホームとするスタジアムの運営企業もあるといった形で、複数の個と組織がさまざまな形で関係し合っています。

ちなみに、アイドルの世界も同様で、私自身も一人のタレントでありつつ、日向坂46というグループに所属して活動しています。その意味で組織とバランスをとりながら、どうやって個としての力を高めていくのか、とても身近なテーマです。

ティール組織を実装する手段となるDAO

写真:三治 信一朗 氏

【パネリスト】
PwCコンサルティング合同会社
上席執行役員 パートナー
Technology Laboratory
所長

三治 信一朗

日系シンクタンク、コンサルティングファームを経て現職。産官学のそれぞれの特徴を生かしたコンサルティングに強みを持つ。社会実装に向けた構想策定、コンソーシアム立ち上げ支援、技術戦略策定、技術ロードマップ策定支援コンサルティングに従事。政策立案支援から研究機関の技術力評価、企業の新規事業の実行支援など、幅広く視座の高いコンサルティングを提供する。

江連 テクノロジーの観点からは、個人と組織の関係性についてどのような変化が現れていますか。

三治 技術や生活様式の変化や成長が緩やかで産業構造が安定していた時代は、ある程度、未来を予想することが可能でした。しかしVUCA(ブーカ=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と呼ばれる現在、単に計画を遂行するだけの組織は生き抜くことが困難となっています。そんな不確実な未来に向けて注目されているのが、よりアジリティーの高いチームを実現する「ティール組織」です。役職はなく全メンバーが権限を持ち、評価はチーム内協議でなされ、報酬も自身で決定します。そしてあらゆる情報を共有し、存在目的に合わせた持続可能な進化を遂げていきます。このティール組織を実装する手段の一つがDAOです。「Decentralized Autonomous Organization」の頭文字を取ったもので、先ほど桂さんからもお話のあった自律分散型組織を意味します。

個と個がピアツーピアで結びつき、コミュニティードリブンで協調し、ビジョンドリブンで目的達成を目指します。またスマートコントラクト(ブロックチェーン上の契約)により業務を遂行し、トークンによる投票などで意思決定を行います。これらのコンセプトをテクノロジーによって体現していくのがDAOです。

江連 個としても、組織としても、ケイパビリティーを発揮しやすい環境がテクノロジーによって整い始めているのですね。

影山 DAOという言葉を聞いて、思い浮かんだことがあります。先ほどご紹介いただいたとおり、私は大のサッカー好きなのですが、JリーグのなかでもDAOにもとづいたクラブ運営を始動させたチームがあります。例えば新しいグッズをつくる際に、選手やサポーターも加わってプロジェクトが進められます。これまでクラブとサポーターの間には目に見えない壁があった感が否めませんが、DAOによってサポーターもクラブの一員なのだと実感でき、コミュニティーの輪が大きく広がった気がします。

こうした個と個がつながる形態として、DAOがさまざまな企業やメディアにも今後広がっていくのかなと思うと、とても楽しみですね。

 まさにそのとおりで、これまで個人の意見はなかなか組織に届かず、影響力を持つことはできませんでしたが、DAOによって個の力を生かした新しい価値が生み出されていきます。さらにその先では、DAOとDAOが縦横無尽につながり合っていく世界感も形成されると思います。

影山 一つ質問させていただいていいですか。個と個がつながり合い、個の集団としてグループ化がなされていくのはとても素晴らしいと思いますが、一方でピラミッド型組織の下位層にあたる現場で働いていらっしゃる方々、あるいは私たちのような若い世代が力を持ち始めると、組織を統治している方はどのように思うのでしょうか。経営者の立場からはコントロールが大変になるような気もします。

 組織のあり方に関するご質問だと思いますが、ティール組織ではミッションを中心として個と個がつながり合うため、従来のヒエラルキーにおける役職などはあまり関係がなくなるのです。もちろん各自がバラバラに動いたのでは意味がなく、しっかりガバナンスを効かせなければなりませんが、あくまでも目的はミッションを迅速に達成することであり、多様な個の意見を取り入れながら、ベクトルを合わせていくことが重視されます。

三治 どうやってティール組織をコントロールするのかについて述べると、ガバナンスの徹底やルールの順守を人に依存するのではなく、テクノロジーに近づけていくという動きが生まれてくるはずです。かつて人類が“火”の扱い方を技術として覚えたことで、“料理”というコントロールが可能となったように、Web3や生成AI(人工知能)なども身近になってきた現在、そういったテクノロジーそのものが次第にルール性や社会性を帯びてきて、組織のガバナンスを支えていく時代が到来すると私は考えています。

不確実性の高い社会情勢で注目される「ティール組織」

図:不確実性の高い社会情勢で注目される「ティール組織」

“知の統合”がミッション達成をアジャイルに支援

江連 個と組織のあり方が大きく変化していくことがわかりました。そうした将来に向けて、PwCコンサルティングはどんな役割を担っていくのですか。

 ますます激しい変化に直面するなかでは、一つの方向性を導くためにも多角的な観点が求められます。したがって、PwCコンサルティングとしてもマクロ経済や地政学、サイバーセキュリティーを含めたテクノロジーといった多様なインテリジェンスを“知の統合”という形で実現していきたいと考えています。

加えて予測し切れない変化を理解し、噛み砕いていく専門性も重要になるため、PwCコンサルティングの内部に限らず、外部の有識者や専門家の方々からもさまざまな知見を集めていきたいと考えています。その意味でも今回、影山さんから有意義なご意見をいただけたことは本当に素晴らしい機会となりました。

多様な個の価値観を集約しながら導き出した一つの方向性に対して、どんな次の手を打っていくべきなのか――。PwCコンサルティングはミッションの達成をアジャイルに進めていきたいと考える企業のお役に立てる存在でありたいと願っています。

江連 影山さんも時代を代表するインフルエンサーの一人として、今後の社会でどんな役割を担っていきたいとお考えですか。

影山 今日は皆さまから、個としても、組織としても、物事を多面的に捉えていくことの重要性を学ばせていただきました。最近、自分自身ではとても苦手としており、あまり他人には見せたくないと思っていたことが、実は大きな武器になる可能性があることを強く感じたことがありました。それは日向坂46の番組で私のとても下手な絵が取り上げられ、皆の笑いものにされているのですが、それがある種のエンターテインメントになっていることです。こうしたことからも得手不得手とは関係なく、一人ひとりの個性が武器になる時代となったことを実感しています。

インフルエンサーを自称するのはおこがましいですが、そういった「自分自身との向き合い方」をどんどん発信していくことが私に求められるとともに、できることでもあり、今後のグループ活動にも生かしていきたいと考えています。

三治 「得手不得手とは関係なく、一人ひとりの個性が武器になる」という影山さんのご意見は、本当に的を射ていて驚きました。今後の社会やティール組織において重視していかなければならない個の多様性・多面性のまさに本質であり、PwCコンサルティングとしてもそうした個性を発揮し、活躍しようとしている人たちをしっかり支援していきます。

江連 今日はアイドルとコンサルタントという異色の組み合わせでパネルディスカッションを行ってきましたが、非常に示唆に富むお話をうかがえたように思います。皆さま、どうもありがとうございました。

写真:パネルディスカッション風景

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リポート1

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【Keynote】
いまこそ磨くべきマクロ経済のインテリジェンス

リポート2

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【対談】
日本企業が持続的成長を遂げるためのカギとは?

リポート3

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【テクノロジー鼎談】
近未来を変えるバーチャルテクノロジーの課題とは?

リポート4

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【パネルディスカッション1】
SX/GX分野で日本企業はいかに勝ち筋を掴むか

リポート5

相互リンク5:写真

【パネルディスカッション2】
専門領域を超えた“統合知”としてのインテリジェンス強化が急務

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