NIKKEI Integrated Report Award 日経統合報告書アワード

企画・制作:日本経済新聞社 イベント・企画ユニット

2023年の審査結果

第3回 日経統合報告書アワード 各賞決定 NIKKEI Integrated Report Award 2023

グランプリに3社を選出

「第3回 日経統合報告書アワード」の最終審査が2月20日に行われ、各賞が決定した。今回は第2回の387社・団体を大幅に上回る475社・団体が参加。3カ月にわたる1次審査では600人以上の機関投資家、学識経験者の多大なるご協力のもと、特にレベルの高い統合報告書を選別。2次審査、最終審査を経て、グランプリにはコンコルディア・フィナンシャルグループ、東京応化工業、野村総合研究所が選ばれた。

(各賞の社名は五十音順、株式会社は省略)

グランプリ

コンコルディア・フィナンシャルグループ
コンコルディア・フィナンシャルグループ
圧巻のROE向上・人財戦略

地方金融機関ひいてはPBR課題に取り組む企業の手本となる圧巻の内容。「ROE向上」「資本コスト抑制」に営業戦略と人財戦略の説明がしっかりと結びついている。気迫のこもったCEOメッセージ、CFOによるROE向上のロジックツリーの解説も分かりやすく好感が持てる。

東京応化工業
東京応化工業
統合思考が見事に結実

競争優位性とビジネスモデルなど、読者に伝えたいことが伝わり、投資家が知りたい情報が網羅的かつ施策も含め具体的に開示されている。社長メッセージで企業価値向上策が明確に示され、CFOが非財務資本の長期的資産化に言及するなど統合思考が見事に結実した報告書。

野村総合研究所
野村総合研究所
目標高い社会課題解決の提言

トップメッセージからはビジネスモデルの進化と強みが熱意とともに伝わる。DX3.0に挑戦する成長ストーリーは一貫性があり、気候変動対応や人材戦略は経営戦略と連動している。事業を通じた社会課題解決への提言は目標が高い。ESGマテリアリティの特定プロセス開示も秀逸。

グランプリE賞

デンソー
デンソー
全体を通じ解像度高い開示

2023年度のポイント明示が好印象。社長交代にあたり新旧社長のメッセージがあり、経営の連続性が伝わる。脱炭素と資本効率向上の両立を目指すROIC経営は戦略・投資が具体的で、TCFDシナリオ分析も財務影響だけでなく経営戦略と連動。図解も適切で全体を通じ解像度高い開示。

グランプリS賞

村田製作所
村田製作所
ESGと企業価値 連動伝わる

社是と価値観に通じるトップメッセージの長期的な持続成長ストーリーは、説得力があり卓越。ESGが同社のフィロソフィーとして根付いていると感じさせる。人材や人権、CSR調達など社会課題についての記載が充実しており、グローバルに通用する。財務政策も投資家の期待に沿う内容。

レゾナック・ホールディングス
レゾナック・ホールディングス
株主が待つことができる内容

「化学の力で社会を変える」というチーム髙橋のメッセージが、CEOを筆頭にCxOの生きた言葉で語られ、強い意思と具体的取り組みが迫ってくる。株主目線と合う財務戦略は、一定時間株主が待つことができる内容。人的資本の記述が充実し、共創型人材育成と事業戦略がリンクしている。

グランプリG賞

日本ペイントホールディングス
日本ペイントホールディングス
ガバナンス開示秀逸で模範例

経営上の唯一のミッションを「株主価値の最大化」としてフォーカス。EPSとPERの最大化を目指す経営モデルのロジックツリーは独自性があり興味深い。指名委員会、監査委員会、報酬委員会の詳細な開示、取締役会の議論も含め、ガバナンス開示は秀逸で他社の模範例になる。

日立製作所
日立製作所
簡潔にして優れた統合報告書

同社の統合報告書は毎年他社が模範と仰ぐ最高峰。今年はページ数を半減したため、環境や人的資本戦略の記述が薄いと一次審査では例年より評価が下がった。しかし、内容は簡潔にして優れており、特にガバナンスではリスクとの向き合い方や取締役会の機能などの説明が極めて秀逸。

準グランプリ

アステラス製薬
アステラス製薬
完成度高く価値向上策が明確

完成度が高く、「患者さんの価値に変える」という同社のメッセージがよく伝わる。社長メッセージからは、企業価値へのコミットとサステナビリティー戦略とが明確に伝わる。組織健全性目標や人的資本の取り組みの開示が充実しており、エンゲージメントスコアの活用が秀逸。

伊藤忠商事
伊藤忠商事
魂のこもった統合報告書

例年通り岡藤節が炸裂した魂のこもった統合報告書で読みごたえがある。総合商社という多岐にわたる事業ポートフォリオを迅速な意思決定で運営する仕組みを分かりやすく示しており、マーケットインの思考に沿ったハンズオンの経営戦略が、豊富な事例紹介からよく伝わってくる。

オムロン
オムロン
経営陣の顔が見える報告書

社長交代にあたり、経営陣の顔が見える構成が好印象。指名委員会の対談はタイムリーで内容も濃い。監査役対談、主要財務・非財務の長期データや株主総利回り(TSR)掲載など投資家目線での編集は高評価。非財務情報の可視化分析への挑戦も高レベルで、ガバナンスの記述も卓越。

コマツ
コマツ
細部までこだわった独自開示

冒頭見開きのロードマップは経営姿勢を示しインパクトがある。社長メッセージからは目指す方向性が明確に伝わり、CFOメッセージもROE改善策など財務政策が分かりやすい。マテリアリティの見直しステップ、製品ごとのカーボンニュートラルなど細部までこだわった独自開示が好印象。

西日本旅客鉄道
西日本旅客鉄道
会社の温かみを感じる一冊

福知山線での2005年の事故を教訓とした安全性への取り組みが充実しており、新しい未来をつくっていこうという思いが伝わる温かみを感じる一冊。CEOメッセージからは鉄道だけでなく不動産などライフデザイン分野への堅実な取り組みが伝わり、長期ビジョン2032への期待を想起させる。

ニチレイ
ニチレイ
心に残る優れた内容の報告書

企業価値向上に向けた施策をコンパクトに語る社長メッセージは導入部として秀逸である。財務戦略も投資家の知りたいROIC分解、セグメントごとのターゲット開示など、投資家の目線に立った報告書。マテリアリティ特定のプロセス開示がていねいであり、各KPI設定に納得感がある。

新人賞

日本板硝子
日本板硝子
読者フレンドリーな報告書

CEOインタビューからは業績改善に向けた強い意志が伝わる。CFOインタビューでもPBR1倍割れやROE8%問題に触れており、認識の高さがうかがえる。全体を通じて読みやすく、読書フレンドリーな報告書である。特に環境社会関連の開示は秀逸で、ガバナンスの開示も充実している。

優秀賞

旭化成

アスクル

伊藤園

ウシオ電機

ANAホールディングス

NTTデータグループ

荏原製作所

小野薬品工業

オリエンタルランド

オリンパス

兼松

川崎重工業

コスモエネルギーホールディングス

サンゲツ

J. フロント リテイリング

住友金属鉱山

セガサミーホールディングス

積水化学工業

双日

第一生命ホールディングス

大和証券グループ本社

TDK

東急不動産ホールディングス

東京エレクトロン

南海電気鉄道

日産化学

NISSHA

日本航空

日本電信電話

ピジョン

ブリヂストン

ホシザキ

保土谷化学工業

丸紅

三井住友トラスト・ホールディングス

三井物産

三菱地所

三菱UFJフィナンシャル・グループ

森永乳業

ヤマハ

ユニ・チャーム

リコー

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