提供:リシャールミルジャパン株式会社

価値の創造
Vol.6

「時を刻む
透明な〝生き物〟」

金沢21世紀美術館 館長/
東京藝術大学国際芸術創造研究科教授

長谷川祐子
長谷川祐子

はせがわゆうこ 東京都現代美術館等を経て、2021年より現職。イスタンブール、サンパウロ、UAE、モスクワ、タイなど世界各地で国際展を手がける。フランス芸術文化勲章受章、文化庁長官表彰。著書に『ジャパノラマー1970年以降の日本の現代アート』(水声社)等。

RM 56-02
Vol.6

「時を刻む
透明な〝生き物〟」

金沢21世紀美術館 館長/
東京藝術大学国際芸術創造研究科教授
長谷川祐子

「芸術」は表現であり、欲求であり、言語である一方、
「クラフト」は技術であり、文化の質である。
時間の経過を一刻一刻正確に、しかも身につけている人間の
生の動静や生態を繊細に反映して刻んでいく。
職人の手でつくられた歯車や部品のひとつひとつが
生命をもち、全体がかかわって動く。
この道具をなんと呼べばいいのだろう。
トゥールビヨンという複雑な仕掛けが驚くべき軽やかさと
強度をもって実現されたとき、
この道具は芸術とクラフトが融合し、身体の一部となった。
この道具は半ば透明で、中のメカニズムがみえるようになっている。
生物に共通する「透明性」は、死ぬと不透明になる。
人がつけている限り動き続ける機械仕掛け。
メカニズムの動きを通して、その人の生の内部のダイナミズムが透けて見えているようだ。
この時を刻む生き物は、身につけている者と共に呼吸する。
内部の振動はそのまま生のバイブレーションとして
所有者の生とシンクロする。
多くの一流のアスリートがリシャール・ミルを身に着けるのは、
彼らのエレガントで野生的感性が共振を増幅させるからだろう。
創業者リシャール・ミルはピカソを敬愛している。
「いかなる創造活動も、はじめは破壊活動だ」
と言った芸術家の冒険心は、
リシャール・ミルが作り出した
新しい「価値の形態(フォルム)」に通じる。

RM 56-02

リシャール・ミル
RM 56-02
トゥールビヨン サファイア

収納されるムーブメントを360度どこからでも透けて見ることができるサファイアクリスタルケースを世界で初めて発表したのは、リシャール・ミルだった。ビッカーズ硬度ではダイヤモンドに次ぐ硬度のサファイアクリスタルを、1日24時間、40日以上も研削し続けて手首にフィットするように曲面ケースを創り出している。さらに今作では香箱受け、中央ブリッジにもサファイアクリスタルのパーツを採用し、いっそう透明性を高めた。ムーブメントはケーブルによって吊られており、そのサスペンション構造やトゥールビヨンの動きを、どの角度からでも鑑賞できるようになっている。
2014年発表 世界限定10本

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