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星 賢人

違いがあるから、世界はきっと面白い

Kento Hoshi
株式会社JobRainbow
代表取締役CEO

「差異を彩へ」
合い言葉に新しい世界を

「あなたみたいな人、うちの会社にはいない」

2014年の春、ある企業の面接官から1人の女性に対し放たれた言葉だ。

彼女はトランスジェンダーで、身体的には男性だが心の性は女性だった。大学生活では初めて女性として生きることができたのもつかの間、就活生になると、待っていたのは社会からの拒絶だった。

面接官から言われたこの言葉をきっかけに彼女が就活を諦め、大学も辞めてしまうのを、ぼうぜんと眺めることしかできなかったのを今でも思い出す。

私自身はゲイの当事者で、中学校時代にいじめから不登校を経験し、大学では同じように悩むLGBTQ+のためのサークルで代表となった。そこで彼女だけでなく、たくさんのLGBTQ+の友人や先輩達が就活に苦しむ姿をみた時に、「労働人口が急速に減少する日本社会で、多様な人材が活躍できないことは大きな機会損失になる」。そう思い、2016年1月、LGBTQ+のための求人サイトを運営する株式会社JobRainbowを立ち上げた。

たった2人で創業したこの会社には、現在、30人近い仲間がいる。その仲間の中に、発達障害を持つお子さんを育てるパパエンジニアがいる。彼が面接で伝えてくれた言葉

「自分の子供に今のままの社会を残したくない」

それを聞いた時に、LGBTQ+だけでなく、あらゆる人たちの“違い”がマイナスにならず彩になる世界を作りたいと思った。「差異を彩へ」このビジョンが私たちの合言葉になった。

マイノリティー性を
持たない人はいない

現在では、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進クラウドサービスの開発をしながら、一人一人の違いから組織の力を引き出せる会社を増やし、ダイバーシティ採用メディアを通じて、多様な人材をマッチングさせることに注力している。

事業を通じて思うことがある。それは“誰もが何かのマイノリティー”だということだ。

例えば、私にとってゲイであることは一つのマイノリティー性だったが、一方で、たくさんの人たちに出会う中、男性であること、健常者であること、日本で日本国籍であること、留学に行かせてもらえたこと、そして今では会社のCEOとして強い立場にいること、など、あらゆるマジョリティー性も自分は併せ持っていることに気付かされる。

マイノリティー性を持たない人はいないからこそ、まず自分の違いに誇りを持ち、そこから他者の違いを愛せる社会を作ることが新たなパラダイムとして、今、必要とされている。

違いがあるから私たちの世界はきっと面白いのだ。